社員30人の会社が下請けにならずに戦える理由 昭和測器の「人を幸せにする経営」とは何か

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研究開発の姿勢について、鵜飼会長はこう言っている。

「中小企業が生き残るためには、高い技術力がなければなりません。しかもその製品は誰もが簡単に真似できないスキ間製品である必要があります。それをグローバルに展開し、グローバル・ニッチ・トップ企業をめざすのです」

ここにこそ、中小メーカーが生き残る道があると言えるだろう。

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しかし、昭和測器の好業績を支えるのは、その高い技術力だけではない。それ以上に、鵜飼会長が掲げた高い経営理念の存在がある。

鵜飼会長は「会社は何のためにあるのか」「誰のためにあるのか」を考え、「社員とその家族、仕入れ先とお客さまを大切にする会社」を掲げて、ぶれずにそれを追求し続けてきた。この会社がいちばん大切にしているのは「社員第一主義」なのである。

経営者の姿勢が会社を強くする

全社員が入社と同時に自動的に株主になり、ともに会社の経営に参画するのも、「社員第一主義」のあらわれだろう。

具体的に言えば、会社は社員に株を無償で提供する代わりに、社員は毎年15%程度で回っている配当金の一部を、株の購入代金として会社に戻す。こうすれば、会社はきちんと株の譲渡代金を回収できる。社員は一銭も出さずに株主になり、毎年、配当金をもらえることになる。まさに両者にとって、いいことづくめの制度である。

社員を大切にする経営姿勢は、ほかにもあらわれている。社長も社員と同じようにタイムカードを押し、トイレの掃除当番をしているのだ。

鵜飼会長は創業当初から、社員と一緒にトイレ当番を続けているという。会長になった今は、トイレ当番は息子である現社長の鵜飼健治さんに譲っているが、タイムカードは今でも、会社に来たときにちゃんと押している。こうした経営者の姿勢が、昭和測器が「小さなエクセレントカンパニー」であることの根っこにあるのだ。

坂本 光司 経営学者、人を大切にする経営学会会長

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さかもと こうじ / Koji Sakamoto

1970年法政大学経営学部卒業、1992年浜松大学経営情報学部教授・同大学院教授などを経て、2008年から法政大学専門職大学院イノベーションマネジメント研究科兼担教授、法政大学大学院政策創造研究科教授を務めた。全国各地の中小企業や商店街、自治体などを回り、経営革新支援やセミナー講師などを務めている。

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