iPhoneのデフォルトアプリを想定したUI
シンプルなデザインが人気でもあるMoneytreeだが、アップル公認のApp Store of 2013の最優秀アプリにも選ばれている。カテゴリー別の最優秀ではなく、全カテゴリーの最優秀だ。アップル公認で2013年のすべてのアプリでナンバーワンだったことになる。
「アプリの設計に関しては、Moneytreeのような資産管理アプリがデフォルトでiPhoneにインストールされていたとしたら、どんなアプリだろうかと想像して設計しました。デフォルトでインストールされている地図アプリはシンプルで使いやすいですが、iPhoneが出る前はここまで使いやすい地図サービスはなかったはずです。アップルの思想に沿ったシンプルとは何かを考え抜きました」
世の中には「うちのアプリはシンプルだ!」と言っておきながら、さほどシンプルではないサービスが少なくないとポール氏は語る。
「アプリを使い始める際に、注意書きが長いサービスが比較的多い。Moneytreeは長い文章は極力簡略化し、読まなければならない文章はほとんどありません。小さな子供がiPadを自然に楽しむように、説明書不要でインストール後、すぐに使えるユーザー体験の提供に努めました」
とにかくイージーでシンプルなデザイン設計を心掛けた。スウェーデン出身と日本人のデザイナー2人でデザインを設計した。ちなみにポール氏はオーストラリア出身。日本のスタートアップだが、社員は多国籍にわたる。
イージー&シンプルでより幅広いユーザー層を獲得?
Moneytreeは2013年4月の提供開始。取材時の2014年3月時点では提供開始から1年経っていない。アプリのダウンロード数は広告などをほとんど打たずに35万まで伸ばしてきた。
「法人向けの資産管理サービスもありますが、われわれは個人向けにフォーカスしています。資産管理を自動化してシンプルに生活したいユーザーをターゲットとしています。家計簿という枠にとどまらず、ライフスタイルに寄り添うアプリを目指しています」
年齢層や収入でターゲットをセグメントはしない。シンプルに資産を管理したいユーザーがターゲットだ。他の家計簿アプリのユーザーは男性比率のほうが高いが、Moneytreeは男女半々というのも特徴的だ。シンプルさが受け、家計簿に挫折した女性がハマっているのかもしれない。
まだマネタイズは始めていないが、経費精算などのプラスαの付加価値を提供する手頃な価格での月額課金を想定しているという。
筆者は海外の家計簿アプリを2年以上利用しているが、1度慣れてしまうとほかのアプリにスイッチしにくい。そしてSNSのように資産管理サービスは複数使うイメージも湧かない。家計簿アプリではなく、家計簿に挫折した人にMoneytreeは向くだろうが、実際には、ZaimやDr.Walletのような家計簿アプリやマネーフォワードのような資産管理ツールと競合になると筆者はとらえている。
「同じ領域に複数のサービスがあり、競争するのはいいことです」と、ポール氏は競合を歓迎する。
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