2位の日産自動車は、北米などの販売不振で世界販売計画を従来の524万台から505万台に引き下げたことなどを背景に、2月13日に下方修正を発表。ただ、この段階では新型コロナによる影響は予想数字には織り込んでおらず、湖北省の工場の生産一時停止や感染拡大による需要減などによって、修正発表以降も業績見通しは流動的となっている。
ほかに、コンデンサーや2次電池など電子部品大手のTDKは、自動車や産業機器市場の需要低迷による設備の減損や子会社売却損に加え、新型コロナの拡大に伴う中国工場の操業度の低下、中国向けの販売減などが下方修正につながった。
一方で、国内産業も深刻である。
鉄道、旅行、ホテルは外出自粛で需要蒸発
新型コロナの感染拡大防止に向けた政府や自治体の自粛要請の大波は全国のあちこちで表れている。近鉄グループホールディングスの場合、鉄道事業では行楽需要縮小や外出自粛によって旅客収入が減少、ホテル事業や旅行事業でも需要減が直撃し、660億円の従来営業益計画を440億円へと下方修正した。
旅行会社大手でテーマパークのハウステンボス、ホテルなどを展開するエイチ・アイ・エスは、7月まで新型コロナの影響が続くと仮定したうえで、2020年10月期の業績計画の営業益を193億円から17億円へと見直した。また、近畿日本ツーリストやクラブツーリズムを傘下に持つKNT-CTホールディングスも、国内外の個人旅行や団体旅行のキャンセル、旅行の手控えなどによって、営業益が35億円から一転して33億円の赤字になる見通しを発表している。
なお、現時点でも新型コロナの感染拡大による影響がどこまで広がるかは予断を許さない状況だ。加えて3月決算会社の場合、決算期末となる3月末時点で株式など保有資産の価値が大きく下落していた場合、減損処理を求められる場合がある。世界的に株価が大きく下落している局面で、今後こうした要因による下方修正がさらに続く可能性も残されている。
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