ビットコインの取引で倒産後に不可解な動き 経営破綻したマウントゴックス社に疑いの目

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実は、同じ日にマウントゴックス側の代理人弁護士は、地裁に「報告書」を提出している。それは、上申書の指摘に対し、「再生債務者(マウントゴックス)が秘密裏に53万ビットコインを保有していることを裏付けるものとはいえない」と反論したものだった。

詳細はこうだ。マウントゴックスが、消えたはずの約20万ビットコインを確認したのは3月7日。即日、オンライン上の新しいウォレットへ移動した。ハッキングを防止するため、ウォレットから同社が持つ別のウォレットへ定期的に移動を繰り返す仕組みになっているのだという。

資産管理体制の甘さ

報告書では、二つのウォレット間での往来が、コインサイトでの取引履歴として表れ、累積で53万ビットコインになったとの見解が示されている。新たに見つかった分を加えて、ビットコインの保有残高は20万2000ビットコイン。大半が消失したという従来の主張はそのままだ。

報告書の説明に特段の論理矛盾はない。だが、巨額のビットコインを確認してから、最終的にインターネットからアクセスできない別のウォレットに隔離したのは3月14日から15日にかけて。なぜ一定期間、オンライン上に置いていたのか。倒産寸前の2月初め、同社は不正アクセスを受けている。債権者の資産ならば、最も安全な場所へ即座に移すのが自然だ。

「ほぼすべてがなくなっている」と言ってから、わずか1週間後に120億円相当ものビットコインが見つかること自体、あらためてマウントゴックスの資産管理体制の甘さを示したといえるだろう。

(週刊東洋経済2014年4月5日号核心リポート03に一部加筆)

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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