日本のロックダウンが腰砕けになりかねない訳

明確なルールがなければ応じない人を防げない

「法整備は急に進められない」という意見があるかもしれないが、たとえば、イギリスは対策法案であるコロナウイルス法2020を、3月19日に提案し、庶民院での投票を行わずに23日に決議し、25日から同法に基づいて外出禁止などを出している。またフランスでも3月18日に法案が提出され、23日に成立、24日から施行され、極めて迅速な対応がなされている。

日本でも現在国会は会期中なのだから、迅速に法整備を行うことは可能なはずなのである。

「自粛要請」に頼るのは限界がある

国民性と言えるのかもしれないが、日本人は政府の「要請」があれば、強制力がなくても一定程度応じてきたし、これまではそれが奏功してきたという側面がある。そういった国民性は、日本という国家の特質としてある程度尊重されるべきものとも思える。しかし、今後ますますグローバル化が進み、多様なバックグラウンドの人々が暮らすようになる中で、国民性に基づく対応がどこまでうまくいくかは不透明である。あくまで自粛要請である限りこれに応じない人たちによって感染が拡大するおそれもある。多様性のある社会だからこそ、明確なルールによる運用が必要である。

前述したとおり、そもそも緊急事態宣言のような国家緊急権の発動は、立憲主義の一時停止・制限を伴うものであるが、その終局的な目的は立憲主義や人権保障の枠組みを破壊しないことである。緊急事態に対する法整備なければ、人命を守るために超法規的措置に訴えざるをえず、このような状態に陥ることそのものが立憲主義を危うくするものであると言える。

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平時と有事の間に線を引き、何よりも大事な人命を守るために、緊急事態における極めて限定的な私権制限は許容されていいだろう。もちろんその場合であっても、立法府・司法府による事前事後の検証ができる余地を残しておくことは必要である。立憲主義の枠組み自体を守るために、超法規的措置ではなく、明確な法的根拠を設けたうえでロックダウン等の対応を行うのが望ましい。そのためにも政府、与党だけでなく野党も含めた立法府の総力を結集して、この難局を打破してもらいたい。

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