現在進行中の大不況は今までの不況とは違う--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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 一方、規制が弱すぎれば、10年以内に再び深刻な国際金融危機が起こるかもしれない。政府が時間をかけて対処しようとすれば、銀行は銀行の将来に対する明確な判断が下されるのを待たざるをえず、貸し出しを抑制するだろう。そうなれば世界は低い信用の拡大と共生しなければならなくなる。

またハーバード大学のニーアル・ファーガソン教授は、「銀行に新しいルールを課そうとしている指導者や金融当局者の多くは、金融危機の発生を監視する立場にあったのと同じ人たちである」と厳しい指摘をしている。

「なぜ経済は繰り返し同じような苦境に陥るのか」と、私は何度も質問された。私とメリーランド大学のカーメン・ラインハート教授は、66カ国を対象に数百回に及ぶ金融危機を実証的に分析した。その分析から得た答えは単純であった。金融危機は傲慢さと無知が原因で起こっているのである。投資家と政府は金融危機の歴史的な事実にまったく無知であった。違った時代や異なった場所で何が起こったかをぼんやりと知っていた少数の人々も、「心配することはない。今回は違う」と繰り返し言うだけであった。

おそらく08年から09年の大収縮は、他の深刻な金融危機とは異なるはずだ。世界的な景気の持続的な回復は見られるだろうが、G20の各国政府は、景気が急激に回復することを当てにせず、忍耐強く事態に対応すべきである。

Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

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