あなたは「民法改正」の影響を知っていますか 4月から法解釈や判例によるルールが明確化

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新ルールを今から確認しておこう(デザイン:池田 梢)

民法の契約に関するルール、「債権法」を大幅に見直す改正法が今年4月1日から施行される。

120年以上前の1896(明治29)年に制定されて以来、ほとんど見直しが行われなかったのが、この債権法である。

契約のルールについてはこの120年間、専門家の解釈や判例の蓄積で補われてきた。そのため、債権法の法律の条文を見ても実際の契約のルールはわかりづらく、ビジネスの現実には適用しづらいものになっていた。

今回の大幅な法改正は、これまでの法解釈や判例によるルールを明確にすることが狙いだ。ルールを明確化することで、民法は現在までの社会経済の変化に対応できるような法律に生まれ変わるのである。

『週刊東洋経済』3月30日発売号は「変わる民法&労働法」を特集。民法のどこが変わり、私たちのビジネスにはどんな影響が出てくるのかを追った。

不特定多数と画一的に取引する「定型約款」

ルール明確化の典型例が「定型約款」である。ここでは概要について簡単に触れておく。

生命保険契約やインターネット通販などの利用の際、細かい文字でびっしりと書かれた書類や画面を目にする。これは「約款」と呼ばれるものだ。

多くの事業者はあらかじめ詳細な契約条項を約款として定めている。この約款に基づいて、顧客と契約を結ぶわけである。しかし、従来の民法には約款を用いた取引に関するルールは何も定められていない。

ご存じのように、文字だらけの約款を長い時間をかけてでも読み込み、理解に努めようとする顧客はまずいない。そのため、事業者と顧客の間でトラブルになるケースが後を絶たない。

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そこで、今回の改正法では、不特定多数の相手(顧客)と画一的な取引を行う際の約款を定型約款として定めることにした。定型約款を運用するためのルールもあらためて決めた。

定型約款には「顧客が不特定多数」「契約目的が画一的で、個別具体的な交渉などを要しないもの」など、いくつかの要件がある。具体的に定型約款に該当するものは、預金規定、消費者ローン契約書、保険約款などになる。

ただ、小売りチェーンのフランチャイズ契約などは定型約款になるかどうか未定だ。このように、今後の法律の解釈や判例の蓄積を待たなければいけないものも、まだ多くある。

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