あなたは「民法改正」の影響を知っていますか 4月から法解釈や判例によるルールが明確化

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通常、定型約款の適用される取引であっても、ユーザーが定型約款の存在を認識していない場合は、有効にはならない。ユーザーの権利を不当に制限したり、義務を課したりするような「不意打ち事項」も無効になるという。

ビジネスパーソンは、今回の改正法を象徴するようなポイントや用語をいくつか知っておくといいだろう。

例えば、旧民法にある「瑕疵担保責任」という表現は改正民法では消えてしまう。

旧民法では、売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合の売り主の責任を「瑕疵担保責任」として規定していた。それが改正民法では「契約不適合」があった場合の売り主の責任に変わった。

不動産取引は大きな影響を受ける

この概念の変更で大きな影響を受けるのが、不動産取引だ。

住宅売買などの話である。売り主はもし買い主に落ち度があったとしても、結局、「契約に適合しない物件」を引き渡していたときは、従来以上の責任を負うことになるかもしれない。

売り主に対する責任追及の手段も従来に比べて多様になるので、業界の関係者は特に改正点をよく理解しておくことが重要だ。

今回の改正で債権の時効ルールも一変する。

旧民法では原則的な債権の時効期間を10年としていたが、それよりも短期の時効、「短期消滅時効」が規定されている業種がある。この制度が廃止され、原則的に債権はすべて5年で統一される。

そもそも日常的に頻繁に取引されるものについて、短期消滅時効が適用されていたが、時代の流れとともに実情に合わない部分が多くなっていた。一般の人がこうした時効制度を細かく把握するのは難しく、改正民法では基本的にすべての債権について5年としたわけである。

短期消滅時効が適用されている業種は1年が大工や演芸人の報酬、運送費など。2年の場合は弁護士の報酬、3年は医師、助産師などである。これらの業種の人たちは債権の回収期間が5年へと長くなるので、ビジネス面ではメリットとなる。

ただ、2020年4月以降に『請求する』債権に消滅時効の廃止が適用されるわけではないのだという……。

改正民法において、ビジネスパーソンが注意すべき点は数多い。有給休暇や在宅勤務などで時間的にゆとりができるのであれば、その時間を活用して、改正民法のポイントをチェックしておくのがいいだろう。

『週刊東洋経済』4月4日号(3月30日発売)の特集は「変わる民法&労働法」です。
堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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