「女性活躍の先駆者」となった少女のスピーチ力

マララさんの「国連演説」を振り返る

マララが国連で行ったスピーチは16歳の少女によるものとしては内容、レトリックともにレベルが優れて高い。スピーチライターやメディアコンサルタントなどコミュニケーションの専門家たちが関与していたためと推測される。

国連で演説を行ってから3カ月ほどたった2013年10月13日に、マララ・ユスフザイはアメリカの首都ワシントンを訪れる。オバマ大統領から招待されたのだ。面会の席で、自身がノーベル平和賞受賞者であるオバマ大統領は教育の自由と普及に対するマララの姿勢を高く評価し、一方のマララは自由世界の「守護神」としてタリバンとの闘いを進めるアメリカに対しての強い支持を表明した。

ふたりのこのやりとりは全世界にニュースとして伝えられ、アメリカが16歳の悲劇の少女を世界戦略のために利用しているのではないかという一部の批判を招くことにもなる。

2013年7月12日にマララ・ユスフザイが国連本部で行ったスピーチは、ノーべル平和賞への「キャンペーン・スピーチ」であったといえる。

選挙活動中に暗殺者の凶弾に倒れた母国の「英雄」ベナジル・ブット元首相が生前まとっていたショールを身に着け、尊敬する人物としてマーティン・ルーサー・キング牧師、ネルソン・マンデラ元南アフリカ共和国大統領、マザー・テレサなど過去にノーベル平和賞を受賞した人物の名前をあげて、こうした人物に自分自身を投影していく。

結局、この年のノーベル平和賞にはオランダのハーグに本部を置く化学兵器禁止機関が選ばれ、マララ・ユスフザイは選ばれなかった。

国際社会でのマララの活躍

マララがノーベル平和賞を獲得したあとも、国際社会からのマララに対する称賛の声は増幅し続けた。

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EU(欧州連合)が思想の自由のために貢献した人物に贈るサハロフ賞を授与したのをはじめ、子供の権利獲得に尽くした人物に与えられる世界子供賞などが彼女に与えられた。またかつての大英帝国時代のしきたりを破る異例なことではあったが、エリザベス女王はバッキンガム宮殿に親しくマララを招き、彼女の労をねぎらった。

一方のマララも16歳の模範的な少女として、世界中の虐げられた人々と善意ある人々の心に希望の灯を燃やし続けた。

彼女は現在、女性の権利拡大のための活動を精力的に展開している。女性に対する教育の充実は彼女が16歳のときから訴え続けていることだ。

最後に国連演説での一節を引用したい。

We cannot all succeed when half of us are held back. We call upon our sisters around the world to be brave, to embrace the strength within themselves and realize their full potential.
(和訳)
人類の半分を占める私たち女性が抑圧されていては、成功などできません。私たちは世界中の姉妹にお願いします、勇気を持って、自分たちの中にある強さを信じて、潜在能力を最大限に発揮していくことを。

16歳で先駆者となったマララは、立派な大人の女性になり、今も女性活躍のパイオニアとして活動している。

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