修羅場を迎える鳩山予算、仕分け結果の反映で火花

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 判定に対し、科技会議では有識者議員が異例の緊急声明を発表。「短期的な費用対効果のみを求める議論がなされている」と批判した。同会議は国民の意見を参考に優先度判定を実施しようとパブリックコメントも募集。スパコン事業に集まった174件の意見のうち、169件が事業推進を「賛成」と評した。

結局、11月30日に発表された優先度判定の原案では、スパコン事業が「推進すべき」と評価された。また、「廃止または縮減」と判定された感染症の国際拠点整備が最高評価を受けるなど、事業仕分けと異なる結果が複数出た。今後の査定段階では優先度判定に加え、事業仕分けの結果がともに参考材料として天秤にかけられることになる。

異なる判断の基準

仕分け判定と優先度判定の結果に差が生じた背景には、行刷会議と科技会議との判断基準の「ズレ」も垣間見える。

11月30日、仙谷担当相が会見で仕分け結果について繰り返し強調した点は、天下り法人などへ税金が無駄に流れている実態だ。政府は「天下りの無駄排除」を前提に作業を進めるが、科技会議は「科学技術は国として長期的視点から推進すべき」と主張。議論の前提が異なっているのだ。政府の科学技術関連の審議会委員を務める政策研究大学院大学の角南篤准教授は「優先度判定が専門家から見た評価であるのに対し、仕分けは国民視点の評価。歩み寄りは難しい」と指摘する。

別の仕分け作業でも、ある独立行政法人の理事長が施設の存在意義を訴えたのに対し、仕分け人らは「施設の目的や意義はすでに理解している」とかわした。こうした焦点のズレは、ほかの事業でも当てはまる可能性が大きい。

今後、仕分け結果と異なる査定結果が出た場合、仙谷担当相は「国民に説明責任を果たせるかが重要だ」と話す。民主党政権初の予算編成作業は波乱含みのまま、次の修羅場へと移る。

(許斐健太 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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