修羅場を迎える鳩山予算、仕分け結果の反映で火花
政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)が実施した「事業仕分け」。2010年度予算の概算要求のうち、約450事業について予算内容を完全公開の場で見直すという前代未聞の作業は、国民的関心となった。
「傍聴者は1日400人程度と見込んだが、最終日前日は2600人。予想よりはるかに多い」と事務局スタッフも反響の大きさに驚く。11月11日から27日にかけて、東京都内の会場で行われた通算9回にわたる作業には、計1万4500人が来場。「予算の形が見えた」と評価の声が上がる一方、厳しい判定を受けた当事者から「やり方が一方的」との反論も相次いだ。
しかし、仕分け作業はあくまで鳩山政権が進める10年度予算編成の序章にすぎない。今後は各府省からの概算要求を財務省主計局が査定する段階へ移行する。その後、政府案がまとめられて年末にも閣議決定され、年明けの通常国会に提出される見通しだ。
波乱要因はすでに浮上
予算編成に当たって前政権と最大の違いは、財務省による査定の際、仕分けの判定結果を「最大限尊重する」(仙谷由人行政刷新担当相)点にある。査定段階で紛糾した場合、最終的には閣僚委員会などで「政治決着させる」(仙谷担当相)という。あくまで政府主導を貫く方針だが、民主党政権にとって初めての予算編成。各省も「どんな展開になるかわからない」と口をそろえる。
すでに波乱要因も持ち上がっている。たとえば科学技術関連の予算。従来は内閣府に設置されている総合科学技術会議(科技会議)の「優先度判定」が予算査定の基準とされてきた。判定は約300の科学技術予算について専門的視点から評価。09年度は「4段階で最高評価の事業に予算がつき、最低評価の事業にはつかなかった」(同会議)。
しかし、今年はすんなりいきそうもない。仕分けでは次世代スーパーコンピュータ事業が「事業凍結」、宇宙航空研究開発機構のGXロケットが「廃止」とされるなど科学技術予算に厳しい判定が相次いだからだ。