失敗しない「リモートワーク」の採り入れ方 導入のコツは忖度なしのコミュニケーション

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――社員同士のコミュニケーション面で注意すべき点はありますか。

慣れないコミュニケーションにはコツが必要だ。中でも重要なのは、察してくれるはず、忖度してくれるはずという期待をなくすこと。

持田卓臣(もちだ たくおみ)/ベンチャーネット代表取締役。1978年、神奈川県川崎市生まれ。早稲田大学商学部、同大大学院ファイナンス研究科修了後、ヒューレット・パッカード社にてITコンサルタントとして従事。2005年に独立し創業(ベンチャーネット提供)

対面のコミュニケーションでは、身振り手振りや表情といったさまざまな情報とセットで伝えることができ、相手の意図を察することができる。しかし、文字ベースのやりとりが中心になると、これは通じない。ため息をついても聞こえない。

仕事をお願いするときには、いつまでに、何を、何の目的でやってほしいのか、という必要な情報を明確に伝えること。また、依頼された側も、提示された情報に不足があれば、遠慮せずに確認すること。

当たり前のことのようだが、この当たり前のコミュニケーションをとくに意識しないと、リモートワークのコミュニケーションはうまくいかない。慣れていない人からするとやや過剰に感じるくらいがちょうどいい。だからこそ経営者が先頭に立って行い、コミュニケーションの推進と理解を求めることが重要になる。

社員の「サボり」は心配いらない

――リモートワーク導入の話題になったときに、経営者側から必ずと言っていいほど出てくるのが「社員が仕事をサボるのではないか」という懸念です。

これまでの経験を振り返っても、(この点は)あまり悩んだことがない。

そもそも、「サボる」というのはどういう状態を指しているのか。単純に勤務時間中に仕事をしていないということであれば、これはリモートワークでなくとも発生するはずだ。

社員同士で雑談することもあるだろうし、コンビニや自販機に飲み物を買いに行ったり、タバコ休憩や会議室でこっそりうたた寝なんてこともあるかもしれない。それでも、週内や月内に終わらせるべき仕事が終わっていればいいわけだ。

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これはリモートワークになっても同じことで、宅配便が来たり、息抜きに散歩しても、やるべき仕事が終わるならそれでまったく問題はない。もちろん、やるべき仕事が終わらないのは「サボり」かもしれないが、そこをフォローするのが経営者や上司の仕事だ。もし不安であれば、こまめに仕事の進捗を確認したり、困っていることはないかなど丁寧にコミュニケーションを取ったりすれば大丈夫だ。

――今回の新型コロナウイルス騒動によって、ケガの功名とも言えるかもしれないが、リモートワークによる働き方改革を進めるきっかけになったということですね。

リモートワークは何も特別な働き方ではないし、特別なスキルが必要なものでもない。重要なのはとにかく丁寧なコミュニケーション。

普段の対面のコミュニケーションでは、ついつい相手の「察する」力に甘えてしまいがちだが、リモートワークはこれを見直すいい機会にもなる。リモートワークをきっかけによりよいコミュニケーション能力が培われれば、当然顧客とのコミュニケーションにも役立つ。

今は新型コロナウィルス対策もあり、なかなか落ち着かない状況だが、こんなときだからこそ基本に立ち返ることが重要なのではないか。

根本 直樹 ライター

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ねもと・なおき  / Naoki Nemoto

1967年生まれ。立教大学文学部仏文科中退。その後『週刊宝石』記者を経てフリーに。主に暴力団や半グレなどアンダーグラウンド分野の取材・執筆活動を続けている。

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