20代で1000万稼ぐ若手社員の意外と知らない姿 トップキャリアの彼らを3パターンに分類

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この中でエスタブリッシュメントタイプは、最もバリエーションが多いです。能力に自信がある人は、外資系コンサルティングファームや外資金融などへ。行動量に自信がある人は、外資生保などガッツタイプへ。それぞれ別の領域へ挑戦します。

また一部の勇気ある人は、今回の分類に含まれないITベンチャー系企業に転職するケースもあります。仕事やカルチャー面での刺激を求めて転職する傾向にありますが、ただもともと所属していた企業は、待遇が非常に恵まれています。実際に転職活動で他社の実態を知り、想像とのギャップに苦しむ人が少なくありません。

ガッツタイプはシンプルな営業の業務内容が中心になるため、入社4年〜5年目あたりから急激に飽きてくる方が多いのも事実。そのためほかの2タイプに転職しようとするわけですが、エスタブリッシュメントタイプの企業は狭き門で、入ろうと思っても入れません。天才タイプが山のようにいる外資コンサル、外資ITは求められる能力がまるで違います。

結局、似た傾向のある業界・商材を持つ企業への転職を余儀なくされます。しかも彼らの持つ武器は営業力だけ。ナレッジなどのキャリアとしてのストック資産が少なく、年数を重ねても足で稼ぎがちです。30代、40代以降で仕事に飽きたり、体力が落ちてきたとしても同じ生活が送れるのか。そういったジレンマを、ガッツタイプは影ながら抱えているのです。

天才タイプの場合、PE(プライベートエクイティー)ファンドやベンチャーキャピタルなど、さらに専門性が必要であったり難易度の高い仕事を求めての転職が目立ちます。ファンドビジネスは、コンサルティングファームで培った経営ノウハウを生かして投資先の経営陣として経営を立て直し、V字回復したところで売却して差益を得るビジネス。難易度もプレッシャーも大きいため相応の報酬がもらえますし、ファンドの収益から本人にも一定インセンティブが支払われるので、年収2000〜3000万円に到達する人もいます。

さらに挑戦的な人は、起業したりメガベンチャーにジョインしたり、スタートアップの役員になってストックオプションを得たりと、サラリーマンとして稼ぐというよりも遠くの世界へ旅立つ印象です。一方で、あまりの激務や責任が重くのしかかる環境に疲れ、こうした世界からドロップアウトしてしまう人も一定数います。

ドロップアウトした人は、一定期間で見切りをつけてエスタブリッシュメントタイプの大手日系企業の経営企画などのスタッフ職に転職するケースも多く見受けられます。

トップキャリア20代も、転職で悩んでいる

ただこうした分類に当てはまらず、最近の20代はフリーランス、アフィリエイター、YouTuberなど個人で稼ぐ人も増えてきました。こちらは行動量と知識の両方があれば実力主義でリターンを得られるため、行動量がとにかく多いガッツタイプと共通するでしょう。優秀で自分に自信のある天才タイプからも、この新たな世界に挑戦する人が少しずつ登場し始めています。

20代トップキャリアは、それぞれの個性や強みを生かしつつ、それぞれの志向性や得意領域で高い報酬を得ています。彼らは華々しいライフスタイルを送る一方で、重い責任や次のキャリア形成に対して、一抹の不安を抱えている人もいます。次回以降は、実際に年収1000万円以上を稼ぐ20代の声を聞きつつ、彼らの実態を掘り下げます。

末永 雄大 アクシス 代表取締役CEO

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すえなが ゆうた / Yuta Suenaga

リクルートキャリア、サイバーエージェントを経て、2012年から自立型人材のキャリア育成をテーマに、転職エージェントとして活動中。ビジネスパーソンのキャリアリテラシー向上のため、月間読者30万人を超える転職ノウハウメディア「すべらない転職」の編集長としての情報発信もおこなう。2013年より、Yahoo!ニュースやオールアバウト等各種メディアにてキャリアや働き方についての記事を寄稿中。

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