AIを無視する「文系人間」を待ち受ける"茨の道" 「7つのルール」を理解しキャリアに活かそう

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しかし、AutoMLやDataRobot が普及したとしても、プロジェクトを立案し、目的を考え、投資対効果を踏まえたうえでデータを取得する。こういった内容は人間(ビジネスプランナー)が決めなくてはなりません。

つまり、これから特に重要になってくるのは、AI(機械学習モデル)を作るまでの前工程の部分です。

例えばAI(機械学習モデル)を作る際、データそのものを集めることは機械(カメラやセンサー)がやってくれます。しかし、どういうデータを集めるか選定することは、人間が意思を持って決定すべき部分です。すると重要なのは、機械学習の技術的特性がわかったうえで、会社の課題に即して事業定義ができる人材になるでしょう。

「AIの実装プランなんて、文系の私にはできない」と思っていては、プランナーとしてのキャリアはそこでおしまいです。今後、AIは、Microsoft Officeのように、一般的なツールになってくるでしょう。日々の業務のなかにAIが入ってくる未来はすぐ近くまできています。これから、さらにニーズが高まる機械学習のプランニングができる人材になることが、DX時代のビジネスパーソンの1つの選択肢と考えられるのではないでしょうか。

7つのルールを身につける

機械学習プランニングの特性とは、機械学習の技術を踏まえたうえで考えなければいけないポイントを押さえることです。私はこれを7つのルールにまとめています。

ルール1. 機械学習の投資対効果を明確にすべし
ルール2. 「使えないデータ」と「使えるデータ」を把握すべし
ルール3. 機械学習で狙うべき領域を同定すべし
ルール4. インプットとアウトプットの解像度を高めるべし
ルール5. 機械学習の性能を正しく評価すべし
ルール6. 実運用のイメージを高めるべし
ルール7. ステークホルダーとのエコシステムを作るべし

機械学習プランナーになるには、これらの理解が必要になると考えます。

いくら機械学習モデルを作るプログラミングがツールにより自動化できるようになっても、どういう目的で作るのか(プランニング)、どのようなデータが必要になるのか(モデリング)、どう活かすか(デプロイ)、の「どう」という部分、「7つのルール」に関わる点を明確化する能力が、大事になるのです。

機械学習プランナーにとって大事なことは、「投資対効果」でいうところの「効果」を明確にし、自信をもって「投資」する判断ができるようにロジックを積み上げることです。

数ある投資の中でも、企業として何よりも重要な事業定義を実現するには、「データを取りにいく覚悟」を明確にすることです。「このデータは、会社の運命を変えるほど競争優位になりうるので、10億円を投資してでも取得していこう!」といった、攻めのAI プロジェクト投資の意思決定ができる人材こそ、稀有な機械学習プランナーと言うことができます。

こうしたことを理解せず、「手元にあるデータでなんとか機械学習を導入できないか」「いち早くPoC(概念実証)を行い、機械学習モデルを試作できないか」といった目先の議論に終始してしまうと、大きなブレイクスルーを生み出す機械学習モデルを築くことができず、「急がば回れ」や「安物買いの銭失い」のような事態になってしまうのです。

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