先進国とは真逆を行く「日本のヤバい小学校」 隣国の悪口を吹き込まれる、組体操は要注意

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2015年9月には、大阪府八尾市の中学校の運動会で計157人が参加の
10段(!)の「人間ピラミッド」が崩れ、1人が骨折、ほかの生徒も5人が軽傷ではあるもののケガを負う事故が発生しています。市教委が、市内の全小中学校を対象に調査をしたところ、2006〜2015年の10年間に36校で計139人が組体操の練習や本番中に骨折していたことが判明しました。

平成16年にスポーツ庁が「安全にできない場合は実施を見合わせるべきだ」という通知を出していますが、結局のところ「やるかやらないか」の判断は各学校に委ねられています。今までたくさんの事故が起きているにもかかわらず、「組体操は全国で100%中止」という結果にはならず、地域や学校によって「現場に任されている」のが実情です。

子どもが大ケガをしてからではもう遅い

わが子がいつの間にか組体操をやらされて大ケガをした、なんてことになってからでは遅いので、子どもが小学校に入る前にできれば形に残るやり方で「組体操をやっているか」を学校側に問い合わせたほうがいいでしょう。

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やっている場合は、できればほかの学校に入れさせること、それができなければ、将来の転校も視野に入れてほかの学校の情報のリサーチをするのもいいでしょう。親には「イザとなったら転校」ぐらいの心構えが必要かもしれません。メールかファックスで証拠を残すのが1番ですが、難しい場合は電話で問い合わせて回答を録音しておきましょう。これもわが子のため、後に学校に「そんなことは言っていない」と言われないためです。

物騒なことを書くようですが、組体操やピラミッドをやっている子どもは、いつ下半身不随になってもおかしくありません。また、本人の身体的なバランス能力が優れていれば大丈夫というわけでもなく、事故が起こったときに当たり所が悪ければ大ケガをしてしまうかもしれません。

ピラミッドはなんせ人数が多いので、子ども1人ではケガしないように注意しきれないレベルです。また、「アッ」という間に崩れうるピラミッドですから、監督の先生に事故を防げる「瞬発力」があるかというと疑問です。

サンドラ・ヘフェリン コラムニスト

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Sandra Haefelin

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、多文化共生をテーマに執筆活動をしている。著書に『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)、『ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)など著書多数。

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