「日本のコロナ対策」間違えてはいけない戦い方 医療崩壊防止が第一、批判応酬しても仕方ない

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それでは、これらに対する打ち手とはどのようなことになるでしょうか。打ち手としては

・感染者や感染を懸念する人たちが医療機関に殺到しない施策を打つこと
・通常の患者とコロナウイルス患者とで明確に分別すること
・万が一、当該医療機関で感染者が出ても当該医療機関を閉鎖する等の措置が行われないように準備を徹底しておくこと

などが考えられるでしょう。

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実際に中国・武漢やイランなどの事例を見ると、医療崩壊が起きていたことがうかがわれます。医療機関での感染拡大と医療崩壊を防いでいくことこそが、今の日本で最も求められていることだと考えられるのです。

建設的批判はつねに重要である一方で、政治的には与党と野党で批判し合うことではなく、あるいは一般的にもお互いに批判し合うことではなく、「敵はコロナウイルスである」という共通認識のもとに、共通の敵に対して、一致団結することではないかと思います。致命率は必ずしも高くないという指摘もされるコロナウイルスですが、今後感染者数そのものが増えていくとおのずと死亡者も増えかねません。

「敵はコロナウイルスである」

「敵はコロナウイルスである」という共通認識をもち、少しでも早期に敵に打ち勝っていくためにも、最後に、孫子の兵法の中でももっとも重要な箇所といわれる「兵は国の大事なり」の全文と現代語訳を、軍事研究の大家であり戦 史研究家でもある杉之尾宜生先生の『[現代語訳]孫子』(日本経済新聞出版社)から引用します。ビジネスや経営に即した現代語訳ではなく、あえて軍事研究家の現代語訳を引用するのは、コロナウイルスの感染が拡大しているなかで、私たちが敵であるコロナウイルスとの「戦い」ということの厳しさを再認識し、本当にみんなが一致団結する必要があると思うからなのです。

[原文]
孫子曰く、兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。故に、之を経るに五事を以てし、之を校ぶるに七計を以てし、その情を索む。
[現代語訳] 戦争特に武力戦とは、国家にとって回避することのできない重要な課題である。戦争、特に武力戦は、国民にとって生死が決せられるところであり、国家にとっては存続するか滅亡するかの岐(わかれ)道である。我々は、戦争、特に武力戦を徹底的に研究する必要がある。根本的な5つの考慮要素について、己自身の主体的力量を検証し、次いで7つの考慮要素に基づき彼我の力量を比較検証せよ。そうすれば、彼我の相対的な力量の実態を解明できるであろう。
田中 道昭 立教大学ビジネススクール教授

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たなか みちあき / Michiaki Tanaka

シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略およびミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)などを経て、現在は株式会社マージングポイント代表取締役社長。主な著書に『「ミッション」は武器になる』(NHK出版新書)、『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテック企業の競争戦略』(日本経済新聞出版社)など。

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