「日本のコロナ対策」間違えてはいけない戦い方 医療崩壊防止が第一、批判応酬しても仕方ない

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例えば、私は2年ほど前に筋トレをし過ぎて腕を痛めました。最初の頃はマッサージに行って痛みのある腕の箇所を揉んでもらっていましたが、いっこうに痛みは治癒しませんでした。その後、治療院に行って、私の痛みである問題箇所の原因は脇の下の奥であることがわかりました。当該原因部分である脇の下の奥を治療してようやく問題である痛みも治まったのです。これが、問題(痛み)、問題箇所(痛む部分としての腕)、原因(脇の下の奥)、打ち手(脇の下の奥の部分を治療すること)の関係です。

それでは、現在起きているコロナウイルスを対象として3W1H分析を行っていきたいと思います。まず問題(What)としては、「コロナウイルス感染が拡大している」ということが指摘されるでしょう。ここで現実世界において最もよくあることは、次の問題箇所の特定(どこが最大の問題箇所かというWhereのプロセス)を実施せずに、「あれも、これも、問題だ・・・」と取り乱してしまったり、きちんと問題箇所や原因の特定をせずに打ち手を先に考えてしまったりすることなのです。

問題箇所の特定を行うには、いくつかの切り口でコロナウイルス感染拡大を分析してみることが必要です。まず、「感染のどのステージが最も大きな問題箇所となり得るか」という切り口で考えてみたいと思います。

重傷者や死傷者を多数出してしまうのが最大問題

残念ながら日本においてもコロナウイルスは水際対策ではなく、すでに拡大することをある程度予測した対策が不可欠なタイミングとなっています。そう考えてみると、「最も大きな問題箇所」とは、重症者や死傷者を多数出してしまうことにあるのではないかと考えられます。

また「どこで感染が拡大することが最も大きな問題箇所となり得るか」という切り口で考えてみると、感染症という性格から、医療機関で感染が拡大すること、さらにはそれが顕在化して国内で医療崩壊が起きることが最大の問題箇所として指摘できるでしょう。

医療機関自体、そして重症感染者を対象に最大の問題箇所を分析してみると、重症感染者を治療する集中治療室(ICU)やその他の関連設備のキャパシティーが指摘されるのではないかと思います。実際にかねてから国内においては感染対策が施された集中治療室は不足しているとの指摘がなされてきました。

次ページ日本集中治療医学会が2月上旬に示した懸念
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