東日本大震災9年、復旧鉄路はこれからが正念場 交通の全面復旧後は地域とともに「復興」を
気仙沼線と大船渡線のBRT区間は当初、仮復旧として線路敷地を舗装し、列車の代替としてバスを走らせる方針でスタートした。しかし、鉄道復旧費用やその後の維持費用が巨額にのぼるとして、地元自治体はBRTの「恒久化」を受け入れた。JR東日本は両線の鉄道事業廃止届を提出。輸送上の実態は変わらないものの、2020年4月1日付で両線は鉄道としては廃止される。
BRTは「バス高速輸送システム」の頭文字であるが、要するに専用道路を走る路線バスという認識で間違いない。ほかの道路交通とは分離されているがゆえ、定時制が保たれるという触れ込みであった。しかし、もっとも道路渋滞がひどかった気仙沼市中心部の専用道化が復興計画とのからみで遅れ、ようやくこの3月14日に完成。県道の混雑から解放される。また、専用道化は被災全区間に及んでいるわけではなく、陸前高田市内などは一般道を走る区間も最終的に残す地元の都市計画になっている。
高校や病院など、多くの利用客が見込める場所へは、旧線路敷地から離れて、バスとしての機動性を活かして立ち寄るケースもある。この3月14日ダイヤ改正では、また「駅」が増設される。これらは地元の利便を考えれば当然の施策とも考えられるが、増やしすぎると並行する一般道を走る、震災前からの路線バスとの整合性が取れなくなる恐れもある。慎重に進めるべきであろう。
BRTは高速化が課題
幸い被災地の周辺の幹線道路は、復興事業の進捗や過疎化もあって、むしろ渋滞するほうが珍しい状態だ。「単線」で、行き違い場所ではいちいち停車、減速するBRTより、「複線」の国道を走るバスの所要時間が短いようでは、BRTの価値はない。BRTの高速化が課題のように思う。
停車場所の数は絞って、専用道を走るBRTの利点を活かすならば、地元路線バス会社の専用道への乗り入れを認めてみてはどうか。例えば、震災前は仙台―気仙沼間を気仙沼線経由で結ぶ快速列車が運転され、ビジネス客の利用が多かった。これなどに代わるものとして、BRT区間は各駅に停まり、それ以外の区間は自動車専用道を走る高速バスを、バス会社が運行するのである。
現在も運行されている仙台―志津川―気仙沼間(宮城交通)や、一ノ関―気仙沼―陸前高田―大船渡間(岩手県交通)の高速バスのうち、「地元」区間をBRTへの乗り入れとすれば、町から離れた三陸自動車道を経由するより利便性は高まる。ただ、一般道を経由するより所要時間が短縮され、遅れもなくなる見込みであることが条件だ。
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