横浜市営地下鉄「延伸」で得するのはどの街か? 駅前一等地をJR東海が所有、使い道は?

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【すすき野付近】

横浜市の資料によると、川崎市の市境付近とのこと。スーパーマーケット「すすき野とうきゅう」のある地点から、王禅寺の森の南側あたりが駅予定地になると思われる。

東急は多摩田園都市開発にあたり、駅から離れた場所にもスーパーマーケットを配置した。すすき野とうきゅうは1階がスーパーとドラッグストア、2階に書店など(筆者撮影)
すすき野2丁目交差点は角地に平屋の商店があり駅前広場に転用できそうだ。奥は虹ヶ丘団地。背後にすすき野団地。左から右へ通じる道路が市境になっている(筆者撮影)

この付近は広大な団地が形成されており、一体的に見えるけれども、横浜市側が「すすき野団地」、川崎市側が「虹ヶ丘団地」である。

すすき野2丁目交差点は見通しがよく、角地は駐車場の広いコンビニと、閉店したスーパーの平屋の建物がある。これらを整理して駅前広場が作られそうだ。川崎市側に東急バス虹ヶ丘営業所があり、田園都市線たまプラーザ駅、あざみ野駅発着系統のバスの車庫になっている。ここを拠点として横浜市側のバス路線が再編されるかもしれない。

なお、王禅寺の南側には東京都市大学の原子力研究所がある。1960年の開設で、当時はここに人が住むなどと思いも寄らなかったと思わしき立地だ。ただし原子炉は1989年に停止しており、現在は放射性同位元素の取扱施設として研究活動を継続中だ。

余熱だからヨネッティー

【ヨネッティー王禅寺付近】

川崎市側の最初の駅。ヨネッティー王禅寺は川崎市が運営するスポーツ施設だ。可燃物焼却処理の余熱を利用した温水プールを中心に、スポーツジムなどを備える。余熱だからヨネッティーだ。

川崎市の幹線道路、通称「尻手黒川道路」が通っており、ヨネッティー王禅寺から西側の沿道は第一種住居地域、道路を離れると第一種低層住居専用地域である。東側の沿道は準住居地域、道路を離れると北側に第二種中高層住居専用地域。南側は市街化調整区域となっている。ようするに戸建て住宅とマンション地域の境目だ。

「尻手黒川道路」は川崎市を縦貫する道路だ。南武線尻手駅から小田急小田原線柿生駅付近に至り、その先は小田急多摩線の黒川駅付近まで延びる計画だ。途中に東名高速川崎インターがあり、片側2車線で交通量も多い。しかし、王禅寺付近から新百合ヶ丘には至らず、柿生駅方向に逸れるうえ、片側1車線に縮小されてしまう。ヨネッティー王禅寺付近から新百合ヶ丘駅方向の道路は渋滞が激しい。川崎市に新駅を交通結節点として整備する構想があり、地下鉄開通とバス路線再編による交通量抑制が期待されている。

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