横浜市営地下鉄「延伸」で得するのはどの街か? 駅前一等地をJR東海が所有、使い道は?

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新駅付近の目立つ施設として、田園調布学園大学、川崎記念病院、特別養護老人ホーム、郊外型スーパーマーケット「いなげや」がある。

手前の道路が尻手黒川道路。奥の建物がヨネッティー王禅寺。広大な王禅寺処理センターの一角にある。余地も多い(筆者撮影)
ヨネッティー前交差点に面して田園調布学園大学がある。1926年に田園調布で調布学園として設立。1967年に当地で調布学園女子短期大学が開校し、改名して今日に至る。キャンパス内にバス発着場があり、あざみ野駅、新百合ヶ丘駅と結ぶ便がある(筆者撮影)
ヨネッティー王禅寺の向かい側で工事が進む「リニア中央新幹線非常口」。期せずして駅前一等地になってしまった。中央のバス停は「田園調布学園前」で、尻手黒川道路を通る東急バス、小田急バス、川崎市バス、合わせて12系統が発着する(筆者撮影)

しかし、なによりも目立つ工事現場がある。「リニア中央新幹線 第一首都圏トンネル:東百合丘非常口」だ。ヨネッティー王禅寺の向かい側にあり、隣接する「いなげや」の約5倍の広さがある。

駅前一等地の広大な土地が非常口だけとはもったいない。大型商業施設やマンションの構想があるはずだとJR東海に問い合わせたところ、「現在はリニア中央新幹線の開業に向けて全力を傾けており、用地活用については検討段階ではない」という。なるほど、静岡県内に設置される予定のリニア非常口を疑問視する報道もあったけれども、いまは建設開業に邁進するのみ、非常口の運用はこれからだ。

【2020年4月2日12時30分追記】初出時、東百合丘非常口周辺の活用法に関する記述に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

【2020年4月3日22時30分追記】静岡県内に設置される予定のリニア非常口に関する記述に正確を期すため、初出時から表現を見直して上記のように修正しました。

もともと、JR東海はここが地下鉄の駅前になるとは想定していなかった。地下鉄の3つのルート候補は1年前に明らかになり、決定は今年に入ってから。非常口の用地確保と建設開始はそのずっと前だ。繁華街や住宅密集地を避けて決定した非常口が駅前一等地になるとは青天の霹靂だろう。ただし現状では川崎市との話し合いも含めて発表できる材料はないという。

ヨネッティー王禅寺や廃棄物処理センター、その付近にも余地はある。交通結節点となる施設も作れるだろう。しかし、リニア中央新幹線の非常口の存在は大いに気になる。付近の住民も注目しており、ヨネッティー王禅寺関係者の何人かと雑談したところ、地下鉄の駅より、リニア非常口の認知度が高かった。

新百合ヶ丘はベッドタウンとして人気

【新百合ヶ丘駅南口付近】

小田急電鉄の新百合ヶ丘駅も歴史は浅く、1974年の開業だ。ただし設置理由は駅周辺開発ではなく、新路線の多摩線を分岐するための起点、および本線と多摩線の乗換駅だった。駅前開発は1977年から、川崎市によって行われた。川崎市北部新都心と位置づけ、駅周辺は商業地域として高層ビルによる集積化を図り、その外側は第一種低層住居地域とした。閑静で駅近の便利なベッドタウンとして人気を集めた。

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