念願叶って転職しても長続きしない根本原因 転職しても年収アップにつながらないことも
ですから、仮に転職をしようと思うのならば、「年収」よりも「理念」を優先したほうが成功しやすいと言えます。
企業には、それぞれの理念があります。理念とは、その会社の目的であり、存在意義であり、世の中にどのような価値を提供するのかを示すもの。会社は、その理念を実現するための場所なのです。
理念とは、言ってみれば会社の思想のようなものです。年収だけを目的にして、共感できない考え方の会社に入ってしまうと、たとえ年収はアップしても長続きしません。理念を見ないで転職すると、次の会社でもまた同じ失敗を繰り返します。
逆に、理念に共感できる企業に転職すれば、働く目的も会社と一致するため、自身の能力を発揮しやすくなり、継続的に成果を出しやすくなります。
リーダークラスの評価基準として「理念浸透」という項目を設けている会社も数多くあります。会社の理念に共感し、理念に基づいた行動をとっているか。理念の浸透をメンバーに働きかけているか。これは昇進に大きく影響する評価項目なのです。
よって年収を下げてでも、その会社で働きたい、その仕事をしたい。そんな「自分が本当にやりたいこと」を実現できる場所が見つからないのであれば、一度立ち止まって考えてみたほうがいいでしょう。
他社で通用する力を身に付けていますか?
そうはいっても「転職」について考えてみること自体は、実はとても重要といえます。なぜなら、自分の「市場価値」を見つめ直すことができるからです。
私たちの会社では、人事制度の構築や見直し、評価、育成、給与など、企業の人事全般にわたるコンサルティングを行っているため、300社以上の企業から、さまざまなご相談をいただく立場にあります。
その中でも特に多いのが、「困った人をどうしたらいいでしょうか?」というご相談です。
困った人とは、仕事をしない、成果が上がらない、周囲と協調できない、部下を育てられないなど、個別の事例はさまざまですが、その代表格といえるのが「年収に見合った働きをしてくれない社員」です。
定期昇給でどんどん給与が上がってしまい、年収は高い。しかし、業績・成果は上がらず、年収に見合った働きをしてくれない。
年収と成果にギャップがある社員はできれば辞めてほしい。それが会社の本音ですが、辞めさせてしまったら、本人は他に行くところがありません。他社に行ったら、絶対年収が落ちてしまいます。
それは本人も自覚しているので、給料が下がっても辞めないし、会社も退職勧奨をしづらい。仮に給料を下げられたとしても、それ以上にやる気も下がり、ますます「困った人」になっていく。
こうした負のサイクルに悩んでいる企業が数多くあります。会社にとっても、本人にとっても、これほどしんどいことはありません。