ゾゾシューズがゾゾスーツの轍を踏んでない訳 サイズ計測だけではない「相性度」による推奨

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しかし、計測精度を高めたからといって、それだけでフィッティングが完了するわけではない。洋服も靴も立体的な構造を持っており、着心地、履き心地は数字だけで表せない。

伊藤氏は「初期のZOZOSUITがうまく機能しなかったのは、理想的な環境で計測してもらうことが難しく精度を出せていなかったことに加え、計測サイズを立体形状に変換する数理モデルがこなれていなかったことが大きかった。今回はその部分に力を入れ、単純な計測値にとらわれない靴選びの仕組みを提供している」と胸を張る。

「フィット感」で商品を推奨

ZOZOMATで計測した足形を元に、ZOZOSHOESは足を細かなパーツに分類。部位ごとの特徴を検出し、各種特徴を組み合わせ、類似した足形の学習結果を検索。類似する足形を持つ人が、どのように各靴のフィッティングについて感じたかによって、推奨度合いを類推する仕組みだ。

筆者の計測結果画面(筆者撮影)

例えば指の長さ。人差し指が長いのか、親指が長いのか。あるいはすべての指が均等なのか。親指や小指の付け根が膨らんでいたり、外反母趾といった特徴、幅の広さや甲の高さ、かかとの幅、くるぶしの位置などが似た、別の人の体験を参考に選ぶというわけだ。

このため、同じ計測値から推奨する靴を検索しても、メーカーごとに異なるサイズが推奨されるだけでなく、同じメーカーの同タイプの靴であっても異なるサイズが選ばれる場合もある。

また、履いたときのフィーリングと足形の特徴を元にフィッティングを判断しているため、靴そのものの内寸も必要としない。そもそも「寸法」はサイズ選びの参考にするだけだからだ。

計測結果から推奨された革靴(筆者撮影)

「靴専門店でシューフィッターが、足形を観察しながら、それぞれの靴の特徴を考慮しつつ靴選びをするように、ZOZOMATが捉えた特徴を元にZOZOSHOESが靴選びをする。単なる計測機能ではなく、よりフィットする靴を選ぶサービスとして設計した」(伊藤氏)

現在、ZOZOSHOESにフィッティングデータが登録されている靴は約100モデルほどしかないが、今後、対応モデルを増やしていき、いずれはZOZOSHOESで扱うすべての靴についてフィッティングデータを集めると話す。

次ページZOZOMAT、ZOZOSHOESに続くテーマも準備
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