ゾゾシューズがゾゾスーツの轍を踏んでない訳 サイズ計測だけではない「相性度」による推奨

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もともとZOZOTOWNは、ブランドによって異なるサイズ感の違いを把握しやすくするため、独自の手計測での表示を徹底、洋服の選びやすさを追求することで成長したファッションECサイトだ。

毎日340万あるというZOZOTOWNのアクセス数を生かし、靴のコーディネートも提案してはいるが、冒頭でも述べたように「洋服売り場に、そのまま靴を置いているようなもの」(伊藤氏)だった。

ZOZOTOWNは年商3200億円を超えるが、靴の売り上げはそのうち13%程度。およそ400億円にしかすぎない。1.4兆円市場と言われる靴市場全体を見渡しても、通信販売の数字はおおよそ16〜18%程度と低く、ファッションEC業界の中にあって靴市場は未開拓の原野なのだ。

例えば、ZOZOの競合であるロコンドは靴の売り上げで存在感を高めてきたが、その成長のカギは靴の品ぞろえ、選びやすさに加え、返品のハードルを下げることだった。

気兼ねなくサイズ交換あるいは複数サイズを注文し、サイズが合わなかったものは返品しやすい仕組みを整えたが、それは返品率を自ら高める仕組みでもある。

伊藤氏は「返品のハードルを下げることでコストが上がることを問題視する向きもある。しかし費用負担は問題ではない。面倒な返品をしなければ靴選びができないというイメージのほうが、靴の通信販売市場における最も高いハードルだ」と話す。

言い換えれば「この靴は自分に合う」と確信を持って購入してもらうことができれば、ネット通販の比率を高め、最終的にはZOZOの売り上げへと取り込んでいけることになる。

ZOZOSUITの経験を生かした

「(身体サイズを計測する)ZOZOSUITはリリースを急ぎすぎた。サービスの垂直立ち上げを狙い、限られた環境、条件下では正しく機能したが、実際にリリースすると理想的な計測環境を得られず、高い精度が得られなかった。この経験を踏まえ、ZOZOMATでは多様な測定環境で、誰もが高い精度を出せるよう工夫し、アルゴリズムを徹底的に鍛えた」(伊藤氏)

実際、ZOZOMATでの計測値は、レーザー光を用いる業務用3Dセンサーで計測する足形と約1.4ミリ以内という高精度を実現したと話す。

実はZOZOSUITも、配付停止直前まで開発を続けることで、最後は高い精度にまで追い込めており、推奨するサイズの精度もZOZOSUITのクレームは「最初の3カ月に集中していた」(伊藤氏)。

このような経験から、2019年秋冬にリリースすると発表していたZOZOMATの出荷をギリギリまで引き延ばし、1000人の多様な被験者を手配し、延べ6万回、5000時間以上をかけて計測とフィッティングの確認を繰り返し、機械学習させることで高い計測精度を実現したという。

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