日本の自動車部品業界は原材料費低下などが好材料《ムーディーズの業界分析》

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コーポレートファイナンス・グループ
アナリスト 桜林 潤

 日本の自動車部品業界の見通しは安定的である。この見通しは、今後12~18カ月間の格付け対象企業の信用状況に関するムーディーズの見方を反映したものである。

日本の主要OEMメーカーの積極的な生産調整が終了し、政府の買い替え支援策により、OEMメーカーと販売店の在庫水準が適正化され、自動車部品メーカーも恩恵を享受するであろう。しかし、買い替え支援策の終了後の需要の揺り戻しは避けがたく、在庫水準は一時的に上昇し、OEMメーカーは生産調整を余儀なくされる可能性がある。

原材料費の低下とコスト構造の改善により自動車部品メーカーは恩恵も受けられるであろう。円高による直接的な影響は限定的であるものの、輸出への影響は不可避である。また、業界全体で生産能力が過剰な状態にあり、日本のOEMメーカー以外からの価格下落圧力が増大する。しかし、日本の自動車部品メーカーとOEM メーカーは相互補完関係にあり、共同の研究開発、共同購入など、双方の取り組みによる効率化がサプライチェーン全体に行きわたっており、部品メーカーへの価格下方圧力を緩和している。この傾向は続くとムーディーズはみており、こうしたOEMメーカーとの強固な関係が、価格への下方圧力を緩和するとみられる。

ムーディーズの格付け対象企業の部品メーカーは、2008年度中に、短期借入から長期借入へと一部借換えを進め、手元流動性を確保した。こうした格付け対象の4社は、主要取引銀行と強固な関係を築いており、今後、厳しい事業環境が継続しようともいずれの対象企業も短期借換えができないとの理由で流動性リスクに直面する可能性は低いとムーディーズは考えている。

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