クルーズ船乗客下船、日本の新型肺炎対策の限界 19日から陰性客を解放だが、すでに市中感染

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2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が中国から香港や世界に拡散したきっかけはホテルだったことは、以前にも書いた(「クルーズ船集団感染に見る新型肺炎追加リスク」)。

中国広東省で発生した新型肺炎の治療にあたっていた医師が宿泊した、同じフロアの同宿者に感染してウイルスは広まっていった。そのホテルでは医師の泊まった9階とその上下階を閉鎖している。「海に浮かぶホテル」であるクルーズ船では、感染者の出たフロアを閉鎖することもできなかったはずだ。

アメリカでは、同船を下船しても14日間は入国を認めない措置をとった。先にチャーター機で帰国した乗客も14日間は隔離される。カナダやオーストラリアなど他国も同様で、つまりは日本を信用していないことになる。

東京都内のタクシー運転手への感染は屋形船の宴会からだったが、今度は大型客船から感染が広がるのなら、洒落にもならない。

すでに日本国内でも、東京、神奈川、千葉、和歌山、愛知、沖縄、北海道などに次いで、福岡でも感染者が確認されて21日には106人になった。感染ルートがはっきりしていないものも少なくない。そこへ福岡市の地下鉄では、マスクをしていないのに咳をしている乗客がいる、と非常通報ボタンを押して停車させる“事件”まで起きている。疑心暗鬼がパニックになっている。

海外ではそんな日本を冷ややかに見ている。韓国、台湾では日本への渡航の注意喚起や自粛を求めているのに加え、タイも日本への渡航自粛を呼びかけた。タイは訪日観光客数6位の”上客”で、日本の観光業への影響は大きい。しかも21日にはアメリカCDC(疾病対策センター)が日本への渡航注意を呼びかけている。逆に日本人が渡航しても、「日本人は来るな」と迷惑がられるのが関の山だ。

これから日本でもアウトブレイクが起きると…

それは、2003年当時にSARSが蔓延した当時の香港、台湾と同じ状況に置かれているといえる。このまま日本で都市型のアウトブレイクが進めば、まさにその当時の香港、台湾の轍を踏むことになる。

例えば、台湾にある日系企業のオフィスではこんな対策がとられていた。まず、建物の入り口で検温され、異常がないと手をアルコール消毒し、中に入れる。そのままオフィス階に上がると、また手をアルコール消毒して、閉じられた扉の奥の会議室に通される。そこではじめて担当者が「ここは消毒が行き届いている部屋ですので、マスクを取りましょう」と言って、マスクを脱ぐ。そして、通常の会話が始まった。

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