新型コロナウイルスの猛威が収まらない。増加する感染者の数が報道されるたびに不安ばかりが大きくなってくるが、そもそも「感染症」とはどのようなものなのだろうか。
そのことについて、『怖くて眠れなくなる感染症』(PHP研究所)の著者、岡田晴恵氏は次のように記している。岡田氏は感染免疫学、公衆衛生学を専門とする白鴎大学教育学部教授である。
細菌やウイルス、真菌や原虫などの感染症の原因となる微生物(病原微生物と言います)が体内に侵入して増えると“感染”です。
そして、感染して症状が現われると“発症”になりますが、ほとんど症状が出なかったり、軽症で済むものから、高い致死率で犠牲者が発生し、回復しても重い障害が残ったりする重大な感染症まであります。(「はじめに」より)
したがって、うつらないように感染経路を遮断する方法やワクチン接種、「かかったかもしれない」というときの対処法などの知識を持っていることが重要だということだ。
そこで本書では、犠牲者を減らすための策を研究し続けている立場から、読者に伝えたいことを明らかにしているのである。具体的には、「ペスト」「コレラ」「ノロウイルス感染症」「エボラ出血熱」など、さまざまな感染症の特徴が解説されている。
2017年に刊行された書籍なので、いま問題となっている新型コロナウイルスについての記述はないが、それでも参考にできる部分は少なくない。そこで今回はPart 1「近未来に怖ろしい感染症」のなかから、「MERS――大流行する新型コロナウイルス」に焦点を当ててみたい。
2012年の衝撃
MERSは2012年にサウジアラビアで最初の感染者が確認され、以後アラビア半島やその近隣地域などでも感染者や患者が発生。また感染者が航空機などで移動することにより、マレーシア、フィリピン、韓国などのアジア地域やヨーロッパ、アメリカにも感染者が発生した。
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