西武多摩川線、知られざる「飛び地路線」の実像 実は西武線でいちばんホットな路線かも

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ラグビーW杯ではボランティアスタッフや警察官も多磨駅に常駐し、さらに西武鉄道でも社員を増やして対応にあたったという。さらに今年の夏の東京オリンピック・パラリンピックでも東京スタジアムや武蔵野の森総合スポーツプラザが会場だ。多磨駅から徒歩5分の武蔵野の森公園はロードレースのスタート地点にもなる。西武の路線で五輪会場があるのは実は多摩川線だけなのだ。

「ですから、個人的に思っているだけかもしれませんが、多摩川線は今や本線を抜いていちばんホットな路線なんですよ。たくさんのお客さまに来ていただけると思って、楽しみにしています」(五味田さん)

東京スタジアムやその一帯はW杯や五輪に限らずさまざまなイベントが年がら年中行われている。その観客が多磨駅を利用することも多いようだ。さらにこの多磨駅は東京外国語大学の最寄り駅でもあり、入学試験のシーズンには受験生で混み合うことも。

「外大は例えば看護師などの試験会場にもなるんです。試験の場合は終わるとみなさん一斉に帰られるじゃないですか。だから状況を見て改札止めという形で入場規制をさせていただくこともあるんです。今はちょうど駅の橋上化工事をしていて、ホームも狭くなっていますから……」(五味田さん)

多磨駅は橋上化工事中

これまで多磨駅は相対式2面2線で列車交換も可能な駅だった。ところが、2019年に橋上化工事がスタート。5月26日から2面のホームが1面に減らされているのだ。この橋上化工事について、西武鉄道鉄道計画課の桑原淳さんが教えてくれた。

多磨駅の橋上化工事。現在は駅舎の基礎工事が進んでいる(筆者撮影)

「多磨駅近隣に大型商業施設が計画されており、お客さまも増えるだろうと。また、出入り口が西側にしかなくて外大や警察学校などのある東側には地下道を通る必要があってバリアフリーも充分ではない。そこでエレベーターやエスカレーターを設置した自由通路のある橋上駅舎にすることで、工事を進めています」

すっかり五輪に合わせた橋上化だと思っていたらそれも違うという。「最初から商業施設を念頭に計画を進めてきた」(桑原さん)のだとか。だから完成予定は五輪が終わった後の2020年度末。

 沿線住民なら知っていることかもしれないが、この大型商業施設はイトーヨーカドー。当初は2023年度以降の開業予定だったが、現状は2024年度以降にずれ込んでいる。

「五輪でも多くのお客さまに来ていただけると思いますが、工事中なのでご不便をおかけしないように、われわれもしっかり対応しようと思っています」(五味田さん)

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