西武多摩川線、知られざる「飛び地路線」の実像 実は西武線でいちばんホットな路線かも

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ここまでは、あくまでも“晴れの日”、特別なときの多摩川線の姿だ。では日常の多摩川線はどんな表情をしているのだろうか。筆者も毎日乗っているが、朝は武蔵境方面に向かう通勤客で混み合い、ほかは外大や新小金井駅近くの国際基督教大学(ICU)に通う学生たちの利用がほとんどといった印象。競艇場前駅はその名の通り多摩川ボートレース場の目の前にあるので、開催日にちょっと混雑することがあるくらいだ。

「白糸台駅は京王線の武蔵野台・多磨霊園両駅と歩いて7分くらいなので、乗り換えで使うお客さまも多いですね。中央線と京王線を連絡する役割も持っているんです」(五味田さん)

白糸台駅は車両基地も備えた多摩川線運行の拠点。運転司令も白糸台駅の構内にあり、池袋線や新宿線とは独立している(この辺もやっぱり飛び地路線らしさか……)。また、各駅のホームの様子が見られるモニターが設置されており、発車時の安全確認も行っているという。

「ワンマン運転ですから、基本的には運転士がモニターも使って安全を確認します。あとは各駅に2名の駅員がいるので、そのうち1人が駅でモニターを見ています。ただ、休憩などで駅員が1人になる時間帯は全部白糸台駅で確認しているんですよ」(五味田さん)

駅員がきっぷを回収する風景

では残りの1名の駅員は何をしているのかというと……いつも使っているから知っている。電車が到着すると集札業務のために改札口に立っているのだ。

多磨駅の改札。電車が到着すると駅員が改札に立つ(筆者撮影)

通常の自動改札機が設置されているのは中央線との乗換駅である武蔵境駅だけ。他の駅には交通系ICカード専用の簡易改札しかない。そのため、電車が着くたびに駅員が改札に立ってきっぷの回収をしている。改札口に駅員が立つ路線なんて、いかにも“ローカル線”。東京では他にこうした路線はない(と思う)。

「多摩川線の係員はいつもお客さまと顔を合わせています。『ありがとうございます』と声をかけて。そのおかげでお客さまとコミュニケーションも取れて、とても距離が近いんですよ。そのおかげなのか、トラブルがあって電車が止まってもお叱りを受けることが少ないんです」

こう胸を張る五味田さん。確かに普段意識したことはなかったが、改札口を通るたびに駅員さんが「ありがとうございます」と一人ひとりに声をかけている。こうしたコミュニケーションが路線への愛着を生むと同時にもしかすると安全運行にもつながっているのかもしれない。

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