「糖質ゼロの調味料」が今密かに売れているワケ キング醸造が見つけたニッチだが確かな需要

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――糖質ゼロの料理酒や、みりんはどのくらい売れましたか?

世の中にない画期的な新商品だから広がると思って発売したんですが、実はあまり売れなくて。ほかのメジャーな商品と比べたらまるで少ないです。スーパーのバイヤーも「糖質制限は、はやってはいるけれど、みりんまではね~」という感じで、あまり棚に置いてくれません。

――スーパーでは売れない一方、自社通販サイトでは2018年の売り上げが前年比243%だそうですね。

どこでも買えるような料理酒やみりんの自社通販なので、今までは正直、全体で週に2~3件オーダーが入ったらいいほうでした。これが、新商品だからのせておこうとのせておいたら、ちらほらオーダーがくるようになりました。次第に、毎日オーダーが入るようになって。さらに、毎日数件入るようになりました。

――売れ行きが伸び始めるキッカケには、何かあったんですか?

本当に困っている人たちは、「日の出が糖質ゼロ料理清酒を出した」という情報をつかんでくれるんです。最初は、開発に協力してくれたFacebookのコミュニティーが紹介してくれたり、糖質制限関係の専門店が紹介してくれたり、といった形で広まりました。その後は、テレビなどで紹介されると注文が増えますね。

みりん全体の売れ行きは、ここ数年減少している

――糖質制限が流行し始めて、普通のみりんが売れなくなっているということはありますか?

スーパー向けのみりんは、ここ10~15年くらい、ずっと微減が続いています。糖質制限の影響はほとんどなく、ライフスタイルの変化だと思います。共働きや単身の世帯が増えると、お母さんが夕方から台所に立って料理をすることはなくなります。料理にかける時間がものすごく短縮されました。基礎調味料の市場は、実はもう数年前から大きく縮小しているんです。

――市場全体が減少しているなかで、会社としては今後どうしていく方針ですか?

料理を作る楽しさを大事にしたいという思いがあります。お母さんの味というか、各家庭の味を大事にしていきたいんです。外食は毎日は続けられませんよね。家庭の味を作るのに便利な調味料を開発して販売するというのが、今のスタンスです。

――みりんは和食以外にも使い道はあるんですか?

洋食やスイーツにもすごく合います。お砂糖が初めから溶けている液体だと思って使ってください。冷凍のブルーベリーに、みりんを入れて煮詰めるだけでジャムになります。レモン汁を少し入れるとどろっとしたジャムになります。カレーやビーフシチューの隠し味にもいいです。カレーにみりんを入れると、すごくまろやかになりますよ。

筆者の祖母は生前、糖尿病を患っていた。しかし、祖母はアップルパイなど甘いものが大好き。食べようとすれば、「食べちゃダメー!」と言い続けるしかなかった。何が正解なのか確信はないが、好きな物を食べさせてあげなかったことに多少の後悔がある。糖質ゼロ食品が広がって、糖尿病でも好きな食べ物が食べられるとなれば、それは家族にとって大きな幸せにつながるだろうと思う。
高橋 ホイコ ライター

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たかはし ほいこ / Hoiko Takahashi

1976年生まれ。国民生活センター勤務を経てフリーライターに転身。ウェブメディアを中心に執筆中。企業の一風変わった取り組みへの取材を得意とする。趣味はホルン演奏、ピンクのガジェット収集、交通インフラの豆知識集めなど。トマトマンの斜め上行く生活術管理人。

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