「優秀な部下」の能力を発揮させる上司の特徴

「天才」を率いるのがそう簡単でない根本理由

リーダーは天才に問題を伝えたり、あらゆる既知のデータやリソース[訳注:資金や人員などの経営資源]を提供したりしても、問題の解決の仕方は指示しないようにしなければならない。そんなことをすれば、天才が生来の創造性を失ってすぐれた問題解決能力を発揮しなくなる。

つまり、天才を率いるリーダーは「指示しすぎずに率いる」必要があるわけだが、これは言うより行うほうがずっと難しい。天才に方向性を示すのではなく、天才自身が正しい方向性を見いだせるように導けたら、あなたは最高のリーダーになれる。天才には、方向性ではなく選択肢を与えることが重要なのである。

リーダーはプロジェクトの主役ではない

正直なところ、天才に「こうしろ」と指示するほうが、天才の自律を認めるよりもはるかに楽だ。しかしそうしたやり方は、複雑な問題を創造的に解決するという、天才本来の能力を制限することになる。一方で自由にさせすぎても、天才は目標を見失って好き勝手なほうへ向かい出す。

リーダーの役割は、天才の問題解決を支えつつ、天才を目標に集中させることだ。

自由と集中のバランスをどう取るかは、天才を率いるリーダーにとって1番の悩みどころだろう。ときにはスペンサーと電子レンジの例のような、追求しがいのある逸脱(本筋から外れたアイデア、詳しくは本書第2章を参照)も生まれなくはないが、たいていはみんなの時間を無駄にして終わる。その逸脱が本来の課題以上に取り組む価値があるものかどうか、天才を率いるリーダーはしっかり目を開いて見極めたい。

『アインシュタインズ・ボス 「天才部下」を率いて、最強チームをつくる10のルール』(TAC出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

これまでのリーダー像を捨て、手段や時には目的も示さずにプロセスを支えることが、天才を率いるためには重要になる。

自分こそがプロジェクトの主役になるという考えはいったん脇に置き、天才が活躍できる環境をまず整えよう。リーダーにできるのは、プロジェクトの目標と成果に間接的に関わることだけだ。天才を率いるリーダーは化学反応を起こさない。その反応を安全に起こすための容れものがリーダーなのである。

研究に必要な設備、チームの規模、チームのテーマはリーダーが変えられる。だが、チームの成功はメンバーの創造性から生まれる。天才の働く環境が天才の創造性を育んでいれば、結果として成功にも大きく影響する。

誰にも一度くらいはまぐれ当たりがある。だが、長期にわたって次々と進歩を遂げているチームがあれば、それはそのチームのリーダーが、天才との働き方を知っている証しにほかならないのである。

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