新型肺炎がもたらす「最悪のシナリオ」とは何か

FRBの金融緩和策の行きつく先に起こる事態

FRBのさらなる金融緩和によって株価の調整が限定的なものにとどまり、需要が高止まりを続ける中で、供給が大幅に減少するようなことがあれば、当然ながら物価はかなりのペースで上昇に転じることになる。こうした状況に陥るとすれば、恐らくは夏以降の話になると思われるが、その場合にはFRBをはじめとした主要国の中銀も、インフレ抑制のために金融政策を引き締めに転じざるを得なくなるだろう。インフレはいったん進み始めるとペースに歯止めが利かなくなることを考えれば、利上げのペースもかなりの速さとなるかもしれない。

アメリカをはじめとした株式市場はこれまで、経済成長が続くなかでも物価が低位で安定するという状況下、「ゴルディロックス相場と呼ばれる上昇局面が続いてきた。その背景に、中国をはじめとしたアジアからの、低コストで安定した供給があったのは間違いないところだが、供給面に問題は生じないという大きな前提条件が、今回の一連の問題によって崩れさることがあれば、その影響は計り知れないものとなるだろう。

中東情勢も完全に落ち着いてはいない

私は昨年秋に中東情勢が緊迫した際、原油価格の上昇が中長期的なインフレを引き起こし、最悪の場合はスタグフレーションに陥ってしまう恐れがあるとの警告を発した。その後は原油価格もひとまず落ち着きを取り戻し、さらには今回の中国の需要減少懸念から原油価格が急落したことで当面の懸念は後退した格好となっている。

だが、今回指摘したような事態が現実のものとなれば、状況がさらに深刻なものとなるのは火を見るより明らかだ。もちろん、中東情勢も完全に落ち着いたわけでは決してなく、大規模な供給の停止によって原油価格が急騰する可能性も十分に残っている。まだかなり先の話であることは確かだし、足元ではアメリカ祭り的な株高の進行に乗っかっているのが最善策なのかもしれないが、こうしたシナリオがあることも頭の片隅にとどめておいた方が良いだろう。

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