ホンダの新型フィット「エース復権」への道のり

相次いだ先代のリコール、首位奪還なるか

2001年6月に発売された初代フィットは、広い室内空間や高い燃費性能、手ごろな価格などが消費者の心をつかみ、爆発的なヒットとなった。2002年には25万台超を売り上げ、国内販売33年連続トップを守り続けてきたトヨタ自動車の「カローラ」をも上回り、国民的大衆車の地位を獲得した。

2代目も2010年からガソリンエンジンモデルに加えて、ハイブリッドモデルも追加し、ベストセラーとしての地位を盤石なものにした。

3代目リコールを教訓に、今回は発売延期

そんなホンダの看板車種がつまずいたのは、2013年9月に登場した3代目だった。海外サプライヤーと開発したデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を使ったハイブリッドシステムの不具合が発売直後に発覚。

リコールが相次いだ3代目フィット(撮影:梅谷秀司)

その後も、ほかの部位で不具合が次々と見つかり、発売から1年間で5度のリコールに見舞われた。大きなイメージダウンにつながり、販売面で最後まで尾を引いた。品質問題が収束し、ほかの新型車の投入を再開した後でも、ホンダの国内販売全体はしばらく低迷した。

そこから心機一転、新モデルで攻勢をかけようとした矢先に、再び品質問題が冷や水を浴びせた。2019年8月に全面改良した軽自動車「N-WGN(エヌワゴン)」で、海外サプライヤーから調達した電動パーキングブレーキ(EPB)の不具合が見つかり、発売間もなく生産を停止。同型のEPBを搭載する予定だったフィットも発売時期の先送りを余儀なくされた。

冒頭のディーラーでは、2019年12月末には3代目の在庫がなくなって販売を終了。量販車であるはずのフィットを旧型と新型を問わず、まったく販売できない緊急事態に陥った。その結果、N-WGNの生産停止の影響分も含めて、店全体の当初の年度販売計画から3割程度落ち込んでいるという。

ただ、3代目の品質問題の経緯があるだけに、新型フィットの発売遅れについては、ディーラー側も一定の理解を示す。店長は「3代目の品質問題では、客足が遠のく状況が長引いて、本当にまずい状況だった。その時と同じ轍を踏まないよう、発売を大きく遅らせた対応は致し方なかった」と話す。

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