温暖化ガス「25%削減」は可能か--排出権取引&環境税で実効性ある削減策示せ
「キャップをはめられるとは、こういうことか」
あるデータセンターが温暖化ガス排出抑制設備導入に際し補助金と引き替えに、環境省が運用している自主参加型排出量取引制度に参加した。ところが金融機関向けのサーバー増設が想定以上で目標の排出枠をオーバーしてしまった。排出権をどうやって買えばいいのか。買えなければ補助金返却や会社名公表など罰則もあるらしい……。何とか排出権を買うことができたが、担当者は目に見えない「キャップ」に大きなプレッシャーを感じたという。
「温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する」──。鳩山首相の掲げた高い目標設定により、日本にも排出権取引制度(キャップ&トレード方式、C&T)が本格導入される可能性が高まってきた。政府は11年度にも制度導入を検討しているほか、東京証券取引所なども国内初の排出量取引所の開設へ準備を始めた。
排出権取引とは、対象となる企業などに排出してよい量(排出上限枠=キャップ)を設定し、その目標を守らせる制度で、削減目標を確実に達成できるというメリットがある。C&Tでは政府が総排出枠を設定したうえで、個々の排出枠を配分する。
さらに、排出権の取引(トレード)を行うことにより、削減コストが安い企業は目標以上削減した分を排出権として売り、一方削減コストが高い企業は目標に届かない分の排出権を買うことで、社会全体では低コストで排出削減が実現できるとされる。