日本橋三越「テナント誘致」を積極化する狙い

ビックカメラ開業、賃貸方式への転換が加速

日本橋三越本店は「デパート発祥の地」とされる歴史のある店舗として知られる。同店は明治時代の1905年に、呉服屋から百貨店へと生まれ変わる「デパートメントストア宣言」を発した。それをきっかけに三越だけでなく、多くの呉服屋が近代的な商業施設へ進化する道筋をたどった。

長らく小売業界の牽引役を担ってきた百貨店だが、昨今は少子高齢化による需要の減少やEC(ネット通販)の台頭による顧客行動の変化を捉えきれず、売り上げ低迷に歯止めをかけられないでいる。

日本橋三越の売上高は漸減傾向にある

グループ売上高の約1割を占める日本橋三越本店も同様で、売上高は2017年3月期1651億円、2018年3月期1553億円、2019年3月期1447億円と漸減傾向にある。今2020年3月期は売上高1491億円と増収を計画しているが、暖冬や消費増税の影響により前年割れとなる可能性がある。日本橋三越本店の中でも新館はとくに厳しく、「新館の売上寄与はかなり小さい。本館に衣料品がしっかりと置いてあるのに、同じような品ぞろえで運営していたため、全体効率が悪かった」(IR担当者)という。

この厳しい状況を変えるために、これまで展開していなかった商品を扱うテナントを誘致することで、日本橋三越本店での商品の幅を広げる構えだ。

百貨店業界の全売上高に占める衣料・ファッション品の構成比率は、かつて5割を超えることもあった。ところが、地方・郊外を中心とする消費意欲の低迷やショッピングモールなどライバル業態の台頭により、衣料・ファッション商品の販売は落ち込んでいき、現在の構成比率は3割程度になっている。

「百貨店はかつて、釣り具、楽器なども扱っていた。今後は婦人服に偏っていた商品構成を見直しながら、(テナントを活用することで)ラインナップを拡大していきたい」と、杉江社長は強調する。品ぞろえの拡張とともに、日本橋三越本店のコンシェルジュ(ベテラン販売員)やスタイリスト(販売員)と連携することで、富裕層顧客の囲い込みを徹底する狙いもある。三越伊勢丹のブランド担当付スタッフマネージャーの斉藤宏太氏は、「外商のお客さんを(今回開店したビックカメラに)送客していきたい」と意気込む。

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