堀江貴文「お金を貯めるな、信用を貯めろ!」 ネットの「投げ銭」でロケットも飛ばせる時代
「価格自由」という、変わりダネのクラファンもある。
2019年5月、幻冬舎の名物編集者・箕輪厚介君が、光本勇介さんというイノベーターの新刊『実験思考』を発売したのだが、紙の書籍は原価の390円で売り出され、電子版はなんと無料で公開された。そして、本の最後に載っているQRコードにスマートフォンをかざすと、投げ銭のページにジャンプする。この方式で、光本さんはなんと1カ月で1億円を集めたのだ。
2019年7月には、僕も『ハッタリの流儀』という本(これも箕輪君の編集だ)を発売して「価格自由」をやってみた。返礼品として「一緒にマージャンする権利」(10万円)、「ホリエモンチャンネル出演権」(50万円)、「LINE交換」(100万円)、「1日密着権利」(300万円)、「結婚式に参列してもらう権利」(1000万円)などを設定したところ、約1億5000万円が集まった。
クラファンや「価格自由」が当たり前のように世の中に浸透すれば、イノベーターやクリエイターが面白いことにどんどん挑戦できる社会にきっと変わっていく。
お金が余っている人にカンパを「おねだり」
「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」というクラファンのサービスを立ち上げた家入一真さんが、2017年に「polca(ポルカ)」という面白いサービスを始めた。通常のクラファンは顔の見えない不特定多数を相手に投げ銭を呼びかける。対するpolcaは、募集のURLを知っている人だけがアクセスできるため、支援者が友人知人に限られる。つまり「フレンドファンディング」というわけだ。
たとえば「北海道大樹町でスナックを開業したい。まずは現地を視察したいから応援してください」と呼びかけて、100円でも200円でもいいから投げ銭してもらうのだ。
お金が余っている、という人がこの世の中にはいくらでもいる。頑張っている青年がいれば、ノリで1万円、2万円をポンポンとカンパしてくれたりする。
「価格自由」を成功させた箕輪君は、渋谷のスクランブル交差点のド真ん中に本が置かれている様子をイメージしているのだという。本の周りに集まった何千人、何万人という読者が1冊の本を読み終えて「テンション爆上がり」しているというのに、そっと本を閉じておしまい、というのではもったいない。寄席で大笑いした客がステージにオヒネリをバンバン投げるように、その興奮が冷めやらぬうちにこちらからチップをもらいにいこう、というのだ。
ネットという技術革新によって、顔の見えない者同士が直接つながる「ピア・トゥ・ピア」が実現した。クラファンで1000万円単位の資金が集まるとなると、上場企業や投資ファンドの存在意義は遅かれ早かれ消えてなくなる。
ネットの本質の一つには「中抜きを省く」というものがある。なるほど、ネットが個人と個人をダイレクトに結びつけてくれたおかげで、お金も手間も省けるようになった。
そして、この風景にはどこか既視感がある。そう、僕たちは「物々交換」という商取引の原点に再び立ち返っているのだ。
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