老後資産の取り崩し可能額が1分でわかる計算 毎年取り崩せるお金と年金で老後を見える化

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よくリタイア世代の方々から、資産運用について「退職一時金を含め、老後資金はどのように管理すればよいのか」、「ほぼ金利のつかない定期預金に置きっぱなしでよいのか」といったご相談をもらうことが少なくありません。確かに、マイルドとはいえインフレ傾向が続くと、今後、リタイア世代はモノを買う力(購買力)を維持できなくなるかもしれません。

退職一時金が銀行に振り込まれると、ラップ口座や外貨建て保険での運用を勧められることも多いようです。西山さんは「これらの商品はコストが高くて合理的ではないと聞きます。ただ、資産運用は必要な気もします……これまで運用をした経験がないので、何かよい方法があれば教えてほしい」と言います。

結論からいうと、何か特別な方法などありません。私は、「つみたてNISA」制度を利用して、「資産の一部」を運用していけばよいと考えています。人生100年時代、60歳から「つみたてNISA」を始めても問題ないでしょう。これまで投資経験のない人にも、使える制度だと思います。

「つみたてNISA」で低コストの投信を長期保有する

「つみたてNISA」は、2018年1月からスタートした積み立て・分散投資を支援するための非課税制度です。これまでは2037年までの制度でしたが、2042年まで延長されるようになります。大きな特徴は、対象商品が、手数料が低水準で、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積み立て・分散投資に適した投資信託に限定されていることです。対象商品は金融庁のホームページで確認できます。

毎年40万円を上限に一定の投資信託が購入可能です。各年に購入した投資信託を保有する間に得た分配金と、値上がり後に売却して得た利益(譲渡益)が、購入年から数えて20年間、課税されません。通常なら、運用益に対して約20%課税されます。非課税で保有できる投資総額は最大800万円です。

『人生にお金はいくら必要か』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

リタイア世代が投資をする目的は、モノを買う力を維持することにあります。運用に際しては、私たちの生活に役立っている、世界で活躍する主要企業の株式を幅広く保有しているのと同じ効果を持つ「コストの安い投資信託」を1本持って、長期で投資していくとよいでしょう。

多くの人は、公的年金を老後の柱としながら、それまでに貯めたお金を少しずつ取り崩して生活することになります。資産を長く持たせるには、冒頭で申し上げた「毎年の決めごと」を定期的に見直すという作業が欠かせません。すなわち①1年間にいくら使ってもいいかを「毎年計算し直す」②運用を続けながら、取り崩していくことがとても大切になります。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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