日テレが、Hulu買収で仕掛ける「動画革命」 船越雅史・コンテンツ事業部長に聞く(上)

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3年かけて権利処理をやってきた

だからこそ、Huluは、どこでも見られるようにするための第4の伝送路として、育て上げることを目指しています。2005年、「地上波放送ではやれないことをやる」をコンセプトに日本初のテレビ局主導のインターネット動画配信サービスとして立ち上げた「第2日本テレビ」は、インフラが整備されていなかったことと、時代を先取りしすぎていて、権利者団体など周辺事業者にまだ理解されていなかったことが、失敗の背景にありました。

第2日本テレビではテレビのコンテンツをそのまま配信することがほとんどできなかったので、スピンオフ番組や新たに作った番組を配信していました。コンテンツホルダーであるテレビ局のいちばんの武器であるテレビ番組を配信することができなかったのが、大きな敗因です。また、音楽の権利処理も進んでいなかったので、効果的な音楽が使えなかった。

これまで、日本で動画配信事業が伸び悩んできた背景には、権利処理の問題がありました。2011年に日テレオンデマンドを開始した時点で、「TVOD(Transactional Video On Demand:都度課金制動画配信)では限界がある。必ずSVOD(Subscription Video On Demand:定額制動画配信)と無料広告モデルのAVOD(Advertising Video On Demand:無料動画配信)のハイブリッドでやっていく事業モデルになる」と考えていたので、3年かけてSVODを視野に入れた権利処理をやってきました。

日本音楽事業者協会や日本芸能実演家団体協議会などが名を連ねる、映像コンテンツ権利処理機構(略称:アルマ)という団体では、まずTVODの料率が決められました。当初、成長期なのでと低めに設定された、そのTVODの料率を変更するための話し合いが2012年10月にあったのですが、その時点ですでにSVODの料率の話し合いを持ちかけています。現在、アルマの代表理事である堀義貴氏(ホリプロ社長)には、堀さんが民放と実演家団体の非公式な集まりの場である配信連絡会という会合の座長だったとき、2009年頃から、すでにSVODの事業性について意見交換をしており、今回のアルマの話し合いではSVODもTVODも同じ料率でいきましょう、という見解をもらうことができました。今春からのHulu事業開始に向けて、備えは万全です。

※ 「日テレは、Huluで100億円稼げるか」に続く

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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