ホンダ「4代目フィット」乗ってわかった実力 2020年の国内コンパクトカー市場は激戦に

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一方のガソリンモデルは、直列4気筒1.3LエンジンにCVTを組み合わせた。エンジンそのものは3代目から継続されているが、各部の摺動(しゅうどう)抵抗を下げつつ、電動サーボ式油圧システムをアイドリングストップ時だけでなく走行時にも使用することで機械式油圧システムの負荷を減らすなど燃費数値の向上が図られた。CVTにはe:HEVで解説したようなステップ制御が加わる新システム「ステップアップシフト制御」が用いられている。

テストコースでの試乗では、出力/トルクともにハイブリッドモデルより低いことから力強さという意味でハイブリッドモデルに劣るものの、それでも十分な走行性能をもつ。1人乗車では140㎞/hあたりまでスムースに加速し、その際のエンジン音もエンジン回転数だけが先行するいわゆる「ラバーバンドフィール」も小さく好印象。価格次第ではこちらを積極的に選ぶ価値はある。

先進安全技術「ホンダセンシング」の実力

ハイブリッド/ガソリンモデルに共通している美点は、高い静粛性と優れた先進安全技術だ。もっとも静かとはいえコンパクトカークラスであるためコストや車両重量との兼ね合いもあり、それほど多くの遮音材などが使われているわけではないが、ドライバーの耳に届かせたい音、例えば加速フィールを演出する高揚していくエンジン音は残しながら、ロードノイズの類いは徹底して遮音されている。よって結果として疲れにくく、快適な空間が保たれる。

先進安全技術では機能強化された「ホンダセンシング」のうち、車線維持支援システム(LKAS)の車線維持性能が飛躍的に高まった。3代目フィットが搭載するホンダセンシングと名は同じだが、超音波ソナー/光学式カメラのフュージョンセンサー方式となり、新型フィットでは光学式カメラの水平方向(横方向)における認識角度を大きくしたことで、自車前方へと扇形に広がる認識エリアが広くなり、状況把握がより確実に行えるようになった。

【2020年2月12日9時50分追記】初出時、先進安全技術にかかわる記述の一部に誤りがあったため、上記のように修正しました。

具体的には100㎞/hでのLKASによるサポートが非常に心強くなっている。水平方向の認識性能を向上させたことで車線を捉え続ける能力が強くなり、さらにその情報を受けて連携する電動パワーステアリングに加わる操舵サポート力が強まったことで安心感も高まった。

光学式カメラの垂直方向(奥行き方向)における認識能力は従来から変更なしとのことだが、得られた画像の解析力を向上させたことで、より前方の車線情報が早期に得られるようになっていて、操舵サポートが介入するタイミングが3代目フィットのLKASよりも幾分早く、車線が部分的にかすれてしまっても頑張って操舵サポートを続けてくれるようになった。

もっとも、進化したホンダセンシングとはいえ過信は禁物だ。しかし、ドライバーがシステムのサポートを受けながら運転操作を継続する世界は、この先の自律自動運転社会へとつながる予行演習になる。従って、“システムのできること、できないこと”をドライバーが理解したうえで使いこなすことはとても大切だ。新型フィットのこうした先進安全技術の特性は安全な運転環境を確保するという意味で素直に歓迎したい。

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