「内定辞退にキレる採用担当者」が論外な理由 就活生と会社では内定辞退の重さが異なる
2015年にベストセラーになったエリン・メイヤーさん(ビジネススクール「INSEAD」教授)の『異文化理解力』によれば、日本人は直接的にネガティブなフィードバックをすることを世界トップレベルで嫌うとのことです。
確かに人からストレートにダメ出しされると傷つきますし、ネガティブなフィードバックをするときも、「こういうやり方もあるかもね」などの婉曲的な表現になってしまいがちです。
「内定辞退」を恐れる就活生たち
先日、日本法令が発売した「内定辞退セット」という商品が就活生の間で爆発的に売れているというニュースがありました。内定辞退はいわばその企業に対しての「ダメ出し」です。
上述した心理と同様に、就活生は企業の採用担当者を傷つけまい、失礼のないようにしたいという気持ちでこれを買うのでしょう。「こんな定型文で内定辞退を伝えるなんて失礼だ」とか「直接会って誠意をもって内定辞退すべきだ」などという批判もありましたが、きわめて善な動機であり、別に批判されるようなことではないと私は思います。
おそらく批判する側の意図としては、採用する側は1人の学生に内定を出すまでに大変な労力をかけており、一度受諾したものを覆すのであるから、丁寧に礼を尽くすべきであるということなのでしょう。
採用担当者にとって内定辞退が事件に相当するという話は事実です。1の内定者を出すのに100人の選考を行うというようなことはざらにあります。ですから、内定辞退はとても残念なことであり、筋が通っているかどうかは別として、腹立たしく思ってしまうことは仕方がありません。
だから、就活生は相手を怒らせたり、恨まれたりすることを少しでも避けられるよう、内定辞退を穏便にすませようとするのでしょう。でも、そこは努力してもあまり意味のないところではないかと思います。
というのも、どんなふうに伝えても結局、企業への「ダメ出し」には変わらないですし、多少の気は紛れたとしても本質的に採用担当者の受けるダメージの実態は変わりません。それでもきれいに別れようとするのは自分が内定辞退の罪悪感から逃れたいがゆえ、つまりは自己満足と言ってもよいかもしれません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら