「内定辞退にキレる採用担当者」が論外な理由 就活生と会社では内定辞退の重さが異なる

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けして自己満足だから丁寧な内定辞退が悪いと言っているわけではありません。自己満足だからこそ、したいのなら丁寧な面接辞退をすればよいし、そうでなければする必要はないということです。

実際、私が接点のある採用担当者の多くは内定辞退の方法についてそれほど気にしていません。むしろ絶対に辞退するということなのであれば、わざわざ面会の時間を取って、学生から内定辞退の理由をくどくどと聞かされるほうが負担に思う人さえいます。採用難時代においては、たいていの採用担当者は忙しく、辞退する人に対応する時間があるなら、次の候補者にその時間を使いたいと思うものです。

だから、辞退の方法にあれこれ悩み、知らせるのが遅くなるのなら、メール1本でもなんでもよいので早く伝えてほしいというのが本音です。そうすれば、辞退者が抜けた穴を早く埋められるからです。たまに辞退の方法に悩むあまり、音信不通になってしまう学生がいるのですが、それが採用担当者にとってはいちばんの負担です。

内定辞退は悪いことではない

そもそも就活生と会社とでは内定辞退の重さが異なります。就活生個人にとってはどの会社に入るのかは一生に影響を与える重要なことですが、会社側にとっては担当者がどれだけ採用活動に心血を注いでいたとしても、究極的にはExcelの1行にすぎません。1人内定辞退したとしてもセルを1行消すだけです。

気持ちは痛いほどわかりますが、その人の一生を面倒見るわけでもない採用担当者が内定辞退に腹を立てるのはどうかと思います。内定辞退は悲しむことではあっても、怒ることではありません。

また、学生はたとえ採用担当者を傷つけたとしても、後悔のないように思い切って辞退すればよいのです。たとえ入社の約束をしていたとしても、就職は人生の一大事ですから、いろいろ考え直して気が変わることだって当然あります。

「悩んだとしても、一度約束したことを破ることなどできない」という思いは美しくも見えるもの。しかし、一生後悔しない覚悟があるならいいのですが、後で相手を恨むくらいなら今断るべきです。人と人の別れなどありふれたことですし、内定辞退もその1つにすぎないのですから。

曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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