ヤマ発社長「EVが広がることはリスクが大きい」 2輪の世界大手は変革期をどう乗り切るのか

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――EVのバイクの普及は難しいと言いますが、台湾などではバッテリー交換式の電動2輪車が普及しています。

たしかに台湾では電動バイクが普及しているが、純粋なビジネスとしては成立していない。バッテリー交換式の場合、膨大な数のステーションの設置が必要となる。実際、台湾では政府が介入してステーションを設置している。

日髙祥博(ひだか よしひろ)/1963年生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、1987年にヤマハ発動機入社。2010年にアメリカ子会社のバイスプレジデント、2017年財務本部長などを経て、2018年1月から社長(記者撮影)

そのうえ、車体価格も補助金で引き下げられている。普通に売れば40万円を超えるものに1台15万円近い補助金が出て、やっと普通のスクーターと同じか少し安いくらい。補助金ありきで運用されているのが実態といえる。

いずれは普及すると考えているからこそ、用意はしている。だが時間軸がまったく読めない。当社としては2050年までにはCO2の排出量を半分にしたいという目標はあるものの、EVが普及するためにはユーザー側にとってもメリットがないといけない。われわれはバッテリー交換式のEVバイクと急速充電式のものをどちらも開発を進めている。

――4輪の自動車ではテスラなど高級車種からEVが普及しています。バッテリー価格も高級帯なら価格に転嫁しやすいのではないでしょうか。

たしかに、EVでやったほうが面白いかもねという領域はある。だが、市場性がわからない。値段も高くなってしまう。それにバイクの場合には重量が重くなりすぎてもいけない。ただバッテリーをたくさん積んだだけではバイクらしさもなくなってしまう。

地方でMaaSの可能性を見いだす

――近年は、グリーンスローモビリティーと呼ばれる低速のEV車両を、自動運転や遠隔操作することで、地域の足として活用する取り組みに力を入れています。

いま、日本各地で町のバスが消えている。自治体が負担して存続を図っても、高齢化が進み運転手すら確保できない。そこで、ゴルフカートをベースにしたものを使用している。ゴルフ場内はすでに自動運転が実現していることもあり、不可能ではないと思った。

使っている技術は電磁誘導といって、誘導線を引くことで上を走らせる、工場やゴルフ場などではすでに使われているもの。都会部では低速で走ると邪魔になる。これでは社会実装どころか社会迷惑になってしまう。だが、足に困っている地方では車通りも多くはなくそうではない。

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