地方公務員に襲いかかる賃金カットと待遇の二極化
加えて、財源がないにもかかわらず、少子高齢化で切るに切れない住民サービスが増えている。高齢者や障害者などの福祉、子供向けのサービス、働くお母さんの支援、治安の維持などのサービスを削減したら、その瞬間に住民からものすごい反発を食らうことは必至である。
典型例が公立病院だ。公立病院は慢性的な赤字になっており、地方自治体の財政を圧迫している。経営的観点から言えば「市立病院がなくても、県立病院があればいいのではないか」と、病院を閉鎖したい気持ちを持っている市長もいるだろうが、医療は住民が体感できる住民サービスなだけに、簡単に削減することはできない。
生活に関連したインフラも問題になるだろう。道路、橋、学校などは建設されてから40年以上経過しているものが相当あり、修繕や建て直しが求められているものは数多い。「インフラ=公共事業=無駄」という思い込みは強いが、今後はインフラの重要性を住民自身が体感する機会が増えることも予想される。
こうした状況を考えると、民主党政権の思惑とは関係なく、地方公務員の待遇や働き方は変化せざるをえない。これまでの傾向から考えて分限免職(いわゆるリストラ)にまで踏み切る自治体は出現しにくいだろうが、給与と人事制度については大きな変化が訪れるだろう。
今後も安泰なのは医師と警察官
第一に、給与については、大幅なカットを実施するところがさらに増加する。私事で恐縮だが、筆者は厚生労働省から今の兵庫県立大学に転職して6年目になるが、当初877万円だった年収は右肩下がりで現在は815万円である。まだまだ恵まれた水準だと思うが、40~45歳の右肩下がりは打撃ではある。