地方公務員に襲いかかる賃金カットと待遇の二極化
第二に、職種間で給与に大きな差が生まれる。地方公務員には一般の事務から公営バスの運転手などの現場業務、教員、公立病院の医師・看護師など多様な職種があるが、同じ公務員ということで比較的格差は少なかった。しかし今後は、医師や警察官といった住民に不可欠な職種と、一般事務職など住民から見えにくい職種の間に格差が生じるだろう。実際、一部の地方自治体では、破格の高給で医師を集めている。
第三に、給与構造の変革である。公務員の給与は俸給表で決められているが、この制度では、たとえ人事評価を反映させたとしても、思い切った資源配分の変更はできない。そのため、大まかな水準だけを決めておき、人事評価で個々人の給与を変える「バンド制」など、柔軟な給与制度を模索する動きも出てくる可能性がある。
最後に、人事制度については、大抜擢や思い切った降格など、首長の人事権を前面に押し出したダイナミックな動きが出てくると予想される。この場合、公務員法で厳格に歯止めがかかっている分限処分(勤務実績の不良などを理由とした、降格・降給・免職・休職)などをめぐって、法廷闘争に持ち込まれるケースが激増するおそれもある。
なかの・まさし
1964年生まれ。同志社大学文学部卒。大和郡山市役所入所。91年旧労働省入省。新潟県庁課長、厚生労働省課長補佐などを経て現職。著書に『公務員大崩落』など。
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