中国「パサート・ショック」は日系車に追い風か VWが中国事業を拡大する中、品質問題が露呈

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CIASIが中国主要乗用車メーカーの41モデルを対象とした25%オフセット前面衝突試験の結果をみると、VW「パサート」・「ティグアン」は最低のP(poor/不可)評価に転落し、「パサート」の兄弟車である「マグタン」はM(marginal/可)評価にとどまっている。

IIHS(米道路安全保険協会)試験でA(acceptable/良)評価が得られた「パサート」(2017年モデル、PQ46プラットフォーム)の品質を勘案すると、インストルメントパネルが切断し、かつサイドエアバッグが装備されていない中国製「パサート」(2019年モデル、MQBプラットフォーム)が大きな品質問題を抱えていると見られる。

25%オフセット前面衝突試験は、車両前端の運転席側25%にバリアを衝突させるため、正面衝突(フレームによるエネルギー吸収)と比べると、高強度のキャビンが求められる。しかし、高強度鋼板(ハイテン)の成形に伴うコストが高くなるため、これまで中国のVW車による採用は一部の部品にとどまっているようだ。

日系車は軒並み高評価

他方、最高評価のG(good/優)評価を得た6モデルのうち、トヨタ「イゾア」「アバロン」「レビン」、日産「ティアナ」の日系4モデルがランクインした。とくに「イゾア」はTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームを採用した初の中国産多目的スポーツ車(SUV)で、CH-Rの兄弟車である。

そのボディーは環のような形で力を受け止めることで剛性を高め、インストルメントパネル、ドアまわり、リアゲートには1500MPaハイテン(高張力鋼板)が積極的に採用されている。また、熱間プレスでハイテンを超える高強度を実現した「ホットスタンプ」(熱間プレス)技術、車体の「LSW(レーザー・スクリュー)溶接技術」でボディーの剛性を高める。

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