ここで、aは労働の分配率です。さまざまな実証分析の結果から a=0.6程度と考えてよいでしょう。
基本式Aで「技術進歩率」として示した項は、「全要素生産性(TFP)上昇率」と呼ばれることもあります。
2019年の公的年金の財政検証は、上式を用いて、日本の長期的な成長率の分析を行っています。
ベースラインとして想定すべき値
基本式Aを用いて、日本経済の長期的な成長率を評価してみましょう。
(イ)労働力の成長率はマイナス0.9%
国立社会保障・人口問題研究所が、将来人口の推計を行っています。その結果(出生中位、死亡中位)を用い、年齢階層ごとの労働力率が現在と変わらないとして将来の労働人口を計算すると、下の図のようになります。
労働人口の増加率は、2020年から2060年の平均では、マイナス0.9%となります。
これは、労働力の増加について現在から格別の変化がない場合における状況です。
以下では、ベースラインとして、この数字を用いることにしましょう。
(ロ)資本ストックの成長率はゼロ
国民経済計算によると、固定資本の名目値は、2010年以降の平均では、ほぼ0.9%の成長率で増えています。
しかし、実質値でみると、ほとんど増加していません。
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