ゴーンが自白の強要と感じた検察の「説得」 弁護士が指摘するゴーン氏取り調べの問題点

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1月8日のレバノン会見でカルロス・ゴーン氏は日本の検察を批判した(REUTERS/Mohamed Azakir)
日産元会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡してから1カ月が経つ。なぜゴーン被告は日本の司法システムから逃げたのか。日本の司法制度に問題はないのか。刑事事件を多く手がけ、取り調べの弁護人立ち会いに詳しい金岡繁裕弁護士に話を聞いた。インタビューの拡大版は「週刊東洋経済PLUS」に掲載しています。

――東京地検の斎藤隆博次席検事が1月9日の記者会見で「毎日2時間前後、ゴーン被告は弁護士と接見していた。取り調べに弁護士が立ち会えないから、弁護士から助言を受けられないというのは見当違いだ」と発言しました。

毎日接見していたから何だと言うのか。私には意味がわからない。弁護人とゴーン氏が接見して打ち合わせをするのは当然のこと。弁護人との事前の打ち合わせは別途必要なものだ。検察に聞いてほしくない打ち合わせもあるし、弁護側が秘密裏に進めたりすることがあるのだから。

しかし、それはそれ、これはこれ。弁護人と接見しているから取り調べに弁護人を立ち会わせなくてもいい、ということにはならない。

取り調べというのは本来、海外で言えば「インタビュー」だ。弁護人が横にいれば、ゴーン氏が黙秘権を行使しようかと思ったときに助言を受けられる。「あのデータを見たいのだが」とゴーン氏が言えば、横にいる弁護人がパソコンを開いてデータを見せればいい。

誤った判断を防ぐ必要がある

被疑者だったゴーン氏が判断を間違えないようにサポートするのが弁護人の仕事だから、弁護人は(取り調べで被疑者の)横にいなければいけない。取り調べの前後の接見でゴーンさんに弁護人がアドバイスをできても、リアルタイムの接見(取り調べへの弁護士の立ち会い)に比べれば劣る。「今、ここで聞く、助言する」のが重要だ。

ゴーン氏から本当に事情を聞きたいのであれば、検察はむしろ弁護人の同席を望むべきだ。なぜなら、被疑者に間違ったことを言われて困るのは検察のほうだからだ。ゴーン氏を「事情を説明する主体」として尊重するのであれば、弁護人はむしろ横にいるべきだ。

弁護士と毎日接見しているから弁護士が(取り調べに)立ち会わなくても問題がないという発想は、ゴーン氏を「取り調べの客体」としてしか見ていないからだろう。「事情を説明する主体」とは思っていない。ゴーン氏から事情を聞くのではなく、認めさせるとか、吐かせるとか、言い訳をさせないとか、ゴーン氏を支配下に置こうとするのであれば、弁護人の立ち会いは邪魔だということだろう。

ゴーン氏から自白の供述調書を取りたい、支配下に置きたい、言い逃れできないようにしたい、と検察が思っているからこそ、「横に助言者がいるのは邪魔だ。苦情があれば後から弁護人と接見して弁護人に言えばいい。1日2時間も弁護人と打ち合わせができるわけだから」という発想になるのだろう。

――弁護人の立ち会いが現実には認められていないのは日本くらいなのでしょうか。

主立った民主国家では弁護人の立ち会いが認められている。近隣諸国でも、韓国や台湾、モンゴルにも弁護人の立ち会い制度があると聞いている。

――金岡弁護士は弁護人の立ち会いを求める弁護活動を長年してきたそうですね。

この10年以上、弁護人立ち会い問題に取り組んでおり、この問題で最先端をいっているという自負がある。(極めてレアケースだが弁護人の同席が認められて)警察の取り調べに実際に立ち会ったこともある。

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