自衛隊が「領海侵犯やテロ」に対抗しにくい根因

中東派遣に見えるグレーゾーン事態への難しさ

中東に派遣される護衛艦たかなみ(写真:240pikaru/PIXTA)

アメリカとイランの対立によって緊張が高まる中東に自衛隊が派遣された。多くの不安を抱えながら、1月11日には海上自衛隊のP3C哨戒機が沖縄の那覇航空基地から出発し、1月20日、アフリカ東部のジブチの拠点で任務に就いた。2月2日には護衛艦たかなみが横須賀基地を出港し、現地に向かう予定である。

P3C哨戒機60人、護衛艦たかなみ200人の合計260人の自衛官が、オマーン湾、アラビア海北部、バブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾の3海域の公海で活動する予定であり、武力衝突が起きる可能性のあるホルムズ海峡やペルシャ湾は活動区域に含まれないと報道されている。

(制作:TOKYO MX『モーニングCROSS』)

今回の派遣に先立つ昨年7月、アメリカは中東・ホルムズ海峡における安全確保を目的とした有志連合への参加を日本に求めていた。しかし、10月に日本は参加を見送り、今回の独自の自衛隊派遣を決定した。その後、アメリカは、イギリス、オーストラリア、サウジアラビア、UAE、アルバニア、バーレーンの7カ国で有志連合を構成し、バーレーンを司令部とする「オペレーション・センチネル」を始動させることを想定している。

日本がアメリカ主導の有志連合に参加しなかった背景としては、イランとの長年にわたる友好関係を鑑みイラン政府の理解を得ることにあったとされており、アメリカ・イラン双方に配慮したその政治判断は妥当であると言えるだろう。

他方で、日本の石油輸入は、中東への依存度が90%近くあり、ホルムズ海峡では年間約3900隻、バブ・エル・マンデブ海峡では同約1800隻もの日本に関係する船が通過している。当該地域の海上交通路(シーレーン)における航行の安全を守るのは、主権国家たる日本国の責務であり、他国に委ねるべきものではない。また、現実的にその任務を果たすことができるのは海上自衛隊をおいてほかにはない。

調査・研究に基づく派遣は妥当である

今回、海上自衛隊を派遣するにあたっては、防衛省設置法4条18号に規定されている「調査・研究」を法的根拠としている。防衛省設置法は、その名が示すとおり、防衛省を設置するための組織法であり、防衛省・自衛隊の組織や任務を規定する法律であるが、所掌事務の一部として「調査・研究」が規定されている。当該条項は、日本周辺の空海域に対する侵入行為を監視するための警戒監視活動の法的根拠としても用いられており、非常に使い勝手のよい条項である。

「調査・研究」については、国会の関与を必要とせず、閣議決定のみで派遣を行うことができるため、国会の承認なく自衛隊を海外派遣することに対し、批判の声も上がっている。

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