スズキとマツダ、マイルドHVに懸ける理由 減速時に発電する技術を活用

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スズキ、マツダのマイルドHVは、走行アシストといっても、エンジンが苦手とする低速時や加速時にサポートする程度。HV先進国の日本ではいかにも中途半端に見える。にもかかわらず、両社が注目するのは、トヨタやホンダが導入しているフルHVの車は割高で、日本や米国の一部以外では普及が進みそうにないからだ。

マイルドHVは、軽自動車にも積めるシステムを改良した程度のもので、エンジン車からの追加コストは大幅に安く済む。燃費改善効果はフルHVには及ばないが、費用対効果で見ればむしろ有利。スズキの開発担当者は「新興国でも普及する可能性がある」と、コスト競争力に自信を見せる。

ドイツ勢もマイルドHVを主軸に

世界的に見れば、このマイルドHVが主流になる可能性は小さくない。フルHVで出遅れたドイツ勢が、大幅なコスト削減が見通せないフルHVの導入を一部車種にとどめ、主軸にはマイルドHVを据える方針だからだ。スズキは、国内では軽自動車、海外では新興国市場が主力。マツダも8割以上が海外販売で、フルHVが普及する市場への依存度が低い。

さらに、もともと燃費がよい小型軽量車が得意なスズキ、高効率のガソリンエンジンとディーゼルエンジンの開発に力を入れるマツダにとって、燃費を向上するためだだけにフルHVを導入するのはメリットが少ない。開発費を抑制するためにも、マイルドHVは現実的な選択肢といえる。

(撮影:鈴木紳平)

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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