立憲と国民が「ワンチーム」になれない理由 「合流の原点」で折り合えず、広がる悲観論

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両幹事長は会談後、「それぞれの事情から、ぎりぎりのラインで折り合わなかった」(福山氏)、「国会に専念し、その中で合流に向けたうねりが起こることを期待する」(平野氏)などと述べ、幹事長レベルでの意見交換を続ける考えを示した。

今後の与野党攻防の展開次第では早期解散もありうる状況下での合流見送りは、「与党にとっては朗報」(自民国対)だが、自民党の森山裕国会対策委員長は「立憲民主と国民民主で協議して出した結論がベストなものだと思う。野党が1つの政党になろうと、今のままであろうと、(与党の国会運営とは)別に関係はない」とあえて無関心を装った。二階俊博幹事長も「合流しようがしまいが、『どうぞご自由に』という感じだ」と突き放した。

枝野、玉木両代表のスタンスの違い

立憲民主、国民民主を中心とする旧民主・民進党系勢力は「野党が大きな塊になって、政権交代の受け皿をつくる」という目標は共有している。だからこそ、1強を誇示してきた安倍政権が「桜を見る会」の私物化疑惑や、統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件で動揺しているのを絶好のチャンスと捉えて、2019年末から合流協議に踏み出したのだ。

2019年末の両党の幹事長協議では、次期国政選挙での比例代表の統一名簿作成など、具体的な合流案も確認していた。しかし、1月10日の党首会談では合意できず、その後の国民民主の党内協議でも賛否が拮抗して結論が出せなかったことが交渉不調につながった。

幹事長レベルでは折り合いがついていたのに、最終的に合意にこぎ着けられなかったのは、枝野、玉木両代表の「合流をめぐる政治家としてのスタンスの違い」(立憲民主幹部)が原因とみられている。

弁護士出身の枝野氏と、財務省のキャリア官僚だった玉木氏については「インテリ同士だから、2人で話し合えば合意は可能」との見方が多かった。しかし、「双方が理詰めの性格で、安易な妥協を嫌う」ことが交渉の難航につながった。

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