日経平均が米国株に比べ上昇しない本当の理由 本当に今の株価は「割安」と言えるのか?

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あるいは、中国はアメリカから5割増しで輸入し、その分他国からの買い付けを削れば、何とか達成できるかもしれない(それでも無理だと考えるが)。これは、アメリカ経済にはプラスかもしれないが、日本やヨーロッパ諸国を含む他国経済には打撃となる。とすれば、世界全体の経済にとっては、何の福音でもない(米株高と日欧株安が同時に起こる、とは言える)。

もう一つの金余り説については、連銀が、銀行間の資金不足による短期金利の跳ね上がりを抑制するため、資金を放出している。連銀は「これは資金不足に対応した金融調節であり、QE(Quantitative Easing、量的緩和)ではない」と説明しているが、その連銀の説明は嘘であり、実は「隠れQE4」なのだ、と騒がれている。その余剰資金が株式市場に流入している、という説が横行しているわけだ。

ところが中央銀行が散布している資金量を示す、マネタリーベースという統計をみると、その前年比は最近までQE3の縮小(QE3からの脱却)が行なわれていたため、マイナス基調にあり、実は2019年11月分まで21カ月連続の前年比マイナスを記録していた。昨年の12月分は何とか前年比がプラスに転じたものの、わずか0.8%増に過ぎない。それで金余りが株価を支えている、という説明は、無理ではないだろうか。

ということは、高過ぎる予想PERに表れているような、アメリカの実体経済の不振と株高の乖離を、米中通商交渉の行方や連銀の量的な金融政策で正当化できるか、と問われれば、「できない」というのが正しい答えだろう。

なぜ日本株の振れは依然大きいのか?

さて、日米の株価の動向を比べてみると、日本の方が振れが大きく、しかもアメリカ株に劣後している事態となっている。

振れが大きい、というのは、年初の中東情勢を巡る株価の上下動をみると、アメリカの株価指数の変化率に比べ、日経平均やTOPIXの変化率の方が大きかったことなどに表れている。

そうした日本株の変動率の高さの背景には、多くの要因があると考えているが、最も大きいのは、日本国内の投資家の売買の層が薄く、海外投資家の売買に振り回されている、という面にあるのだろう。このため、通常は現物の売買代金が少なく、海外短期筋の日経平均先物の売り買いに振り回されることが多い。

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